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第11話
「なんなんだこれは……一体なにが」
「いい気味だ」
「自業自得だろ」
「これで少しは俺達の気持ちが分かるだろ」
背後でくすくすと笑いながら、俺を不快にする言葉を吐き出していく家畜共。
なるほど。これをやったのは、よほど俺に怨みを持っていた学校の生徒の誰かということか。
今なら自然に嫌がらせが出来るしな。漫画なんかでよくあるイジメの対象になったのと同じだ。
「はぁ~~……まったくもって腹立たしい。なぁ?そこの家畜共もそう思うだろう?」
「ひっ!!」
この俺をここまで侮辱するとは、ここの家畜共はよっぽど死にたいらしい。
「い、いいのか!!俺達になにかしたら、ユウジが黙ってないぞ!!」
「はっ。ユウジ、ユウジ……。知ってるか?貴様らみたいなのを日本では、虎の威を借りる狐。と言うのだぞ?まぁ貴様らは狐というより豚だがな。あぁすまん豚に失礼だったか」
「っ……お、お前なんかもう怖くないんだ!!今まで俺達を馬鹿にしてきやがって。これでもくらえ!!」
家畜数人は魔力を手のひらにこめると、それぞれイメージした形に変化させた魔力を俺に放つ。が、そんな豆鉄砲のようなもの勿論俺には効かない。
「食いちぎれ」
遠慮はしない。
俺は魔力を最大に外へ放出させ、人の肉さえ食いちぎれるほどの黒々したカラスを作り上げた。
「な、なんだよあれ……」
俺の魔力で出来たカラスは、家畜共が放ったちっぽけな魔力を丸呑みにすると、高らかな鳴き声を上げ、肉目掛けて飛び立った。
「ウワァアーーーー!!!!」
「あんなの相手にできるかよ!!」
「早く逃げろ!!!!」
俺を馬鹿にしていた目は一瞬で恐怖に染まり、くすくすと影で笑っていた声は絶望の叫びへ変わる。
こんなのばかり見ていたら嫌でも思い知らされる。
結局俺は、力と権力でしか相手と繋がれないのだと……。
いや違うな。繋がってもいなかった。
それこそ、この契約の様にただ縛り付けているだけ。支配していただけ。
力か権力、どちらかを失っただけでこの変わりようだ。
家でも、ここでも、俺に居場所はない。
誰も俺を認めない。
俺を見ない。
俺を嫌う。
「はっ。そんなの自業自得じゃないか」
カラスが一人の生徒を捕まえ、抑え込む。
「やめてくれ……助けてくれ……」
死の恐怖に恐れ、顔を歪め命乞いをあげる家畜。
だがもうーー。
「今更何を言おうと、もう遅い」
カラスは高らかな鳴き声を上げ、鋭いくちばしで生徒の腹部を突き破ろうとしたーーのだが。くちばしが腹を刺す前に、カラスの動きがピタリと止まってしまった。
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