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第13話
「ユ、ユウジ?どうしたんだよ」
「どうしたもなにも、僕は怒っているんだけど?ねぇ、誰が壊したのかな?ブラッド・レンフォート様の寮を」
サトウユウジは俺に背を向けると、他の生徒を睨みつけた。
「……何故」
何故コイツは、俺の事で怒っているんだ。
俺の寮が壊されたのは、犯人が俺に対して恨みを持っていたからだ。そんなの、俺の自業自得なはずだろう?
なのに何故。
しかも俺を負かしたお前が、俺をかばうんだ。
「オイ、ユウジ。まさかお前アイツの味方するのかよ」
「うん。味方するよ。だって、今回悪いことしたのは君達だからね」
「で、でも。アイツが今までやってきたことに比べたらこのくらい……」
「だから彼を虐めても良いと?今まで虐められてきたから、虐め返しても良いと?」
「それは……」
サトウユウジの言葉に、全員が口を開くのをやめていく。
ただ一人を覗いて。
「ユウジ。確かにお前の言いたいことは分かる。とても正しい言い分だ。けど、アイツはこのまま野放しにはできない。だからしょうがないんだ。分かるだろ?」
サトウユウジの前に立ち、必死に説得を続けるルイス・アルベルトだが、奴の表情に笑顔は戻らない。
「僕には分からないなぁ。野放しにできないってなに?しょうがないってなに?彼は僕に負けた。もうそれでいいんじゃない?」
「たった一回負けただけで、アイツの悪事が収まるとは思えない!!アイツは敵だ!!悪だ!!俺達でなんとかしないと」
「悪いけど、僕にとって彼は敵でもないし悪でもないよ。というか、君は自分を正義だと思ってるの?ルイス君」
「……え」
「あはは!!それならただの勘違いだよ?だって君は、ただ正義という存在に憧れているだけだからね。だから今まで、もっともらしいことを言うだけで何もしなかった。違うかい?」
「ち、違う。だって俺には力がないから」
「力がないから、何も出来なかったって言い訳するの?」
「っ!!そんなこと!!」
「言っておくけど僕は、別に正義の為にブラッド・レンフォートと争ったわけじゃない。悪とか正義とか、それは人によって違う。勝手に君の理想を押し付けるのは止めてくれないかな?」
ルイス・アルベルトは、口を開けたまま固まってしまった。
まさか自分が慕っていた友人から、そんな事を言われるなんて思ってもいなかったのだろう。
俺も最初は、コイツの見てくれに騙されていたから気持ちはわかる。
「さてと。他に文句がある人はいるかな?」
冷めた目のまま他の奴等を睨みつけて問い詰めてくるサトウユウジに、それ以上は誰も口を開こうとしなかった。
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