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第15話

「っ……」 「ブラッド様?」 「……せいしろ」 「はい?」 「今すぐ訂正しろぉおーー!!!!」 「……へ?」 色々と勘違いしてしまいそうになるお花畑の頭を一度空っぽにして、俺は勢いよくソファーから立ち上がった。 「先ほど言った台詞も、その優しい態度も全てやり直せ!!というか、最初のドSなお前はどこにいったんだ!?俺のようなプライドの高い奴を虐めるのが好きだったんじゃないのか貴様は!!」 「そ、それは……そうですが」 「ならばそうしろ!!いいか?俺はお前に契約で縛られている奴隷だ。優しくするな。でないと……俺は……」 でないと俺は? なんだというんだ? 「……ぷっ。くくっ……」 「おい。何を笑っている」 「い、いや。自分で奴隷とか、優しくするなとか言ってると、まるで貴方がドМみたいで」 「サトウユウジ……貴様、死にたいようだな」 「おや?『僕に逆らってはいけません』よ?ブラッド様」 胸に痛みが走る。 この刻印がある限り、俺はサトウユウジからの命令に逆らえない。そのことに今は少しだけ、ほっとした。 そう、俺とコイツの関係はこういうものだ。 それ以上なんてない。ない……んだ。 「ほら『こっちに来てください』ブラッド様」 「っ……」 言われるがまま、俺はサトウユウジの目の前に座る。 「『抵抗しないでください』ね」 オールバックに固めていた前髪を崩されると、そのまま唇を塞がれ、ソファーへ押し倒された。 「ぅっ、ん」 ねっとりとした熱い舌が、俺の舌を舐め、歯を撫で、吐息すらも飲み込むほど、深く俺の中を味わい。楽しんでいる。 「……はぁ、んっ」 ジクジクと胸が痛む。 「んんっ……」 ドクドクと胸が痛む。 一体これは、どっちの痛みなんだろうか。 「ふ、ぅ、っ……いっあ」 「大丈夫ですよ。深呼吸して」 いつのまにか用意されていたローションが尻をつたい、サトウユウジの指が俺の中を慎重に広げながらぐちゅくちゅと掻きまわしていく。 まさかこの俺が、男に尻を弄られる日が来るなんて思ってもいなかった。 「いっ……うっ、んんっ」 やはり慣れてないのもあってか、今はただ異物が入り込んでいる違和感しかない。 なのに、不思議と嫌な気分ではなかった。 寧ろ、身体がもっと欲しいとうずいてしまう。 だがしかし、自分から求めるのは違う。それではまるで、俺がコイツとのセックスをもっと望んでいるみたいになってしまう。 だが……もう……。 正直もう。 「ぁ……うっ……も、もう」 「もう?なんですか?」 「も、もう……ぅっ」 「どうしました?ブラッド様」 「っ……」 駄目だ。理性を保て俺。 ここで言ってしまったら、色々と認めることになってしまう。 だが、だんだんと中を弄られることに慣れてきたのか、ときおり声が出てしまいそうになるほど気持ちいいところに当たってしまう。 それをサトウユウジも分かっているのだろう。 その一番良いところを、少し触れては止めてしまう。 指でもいいから、もっと奥を、もっと激しく掻きまわしてほしいのに……。

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