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旅の小休憩

昼間のうちに出来るだけ王都に向けて進み、日が沈む前に近くの街へとやってきた。それなりに大きな街である為、久々に見る人の多さである。 「・・・目立つな」 「いつも通りだ」 レジとダグは露店にて食べ物を物色中のルゥとノエルを眺めながら言う。二人の珍しい白と銀の髪は離れた位置からもすぐに目にとまる。その上なかなかお目にかかれない程の美形となれば、自然と人々の視線は二人に集まっていく。 レジとダグも、その見た目が悪い訳では無い。野性味に溢れた男らしさを全面に押し出した感はあるが、むしろ顔は整った部分に入る。 しかし、身近に芸術品のような顔を持つものが常にいるためその事実は霞んでいた。 「随分たくさん買ってきたな」 「おまけしてくれた」 ノエルに買ってもらった熱々の饅頭に似た食べ物を、幸せそうに頬張るルゥ。レジとダグに買ってきたそれを渡しても、まだいくつも残っている。受け取ったそれにかぶりつくと、小麦を練った生地の中に大きめに形を残したミンチの肉がぎっしりと入っており、肉汁が溢れてくる。野営の際は余り凝った料理は出来ない為、街で食べる物はどれも美味い。 「そろそろ少し路銀の調達もしておきたい所だな。折角街に来たからには」 ノエルは財布の中身を確認する。王都に近づくにつれ物価が高くなる。まだ余裕はあるが、蓄えがあるに越したことはない。 「持ってきた薬がまだある。何処か買い取ってくれる所を探すぞ」 「途中で見つけた鉱石も換金するか」 旅に出る前に作っておいたノエルの薬と途中で見つけた鉱石を売るため、四人は問屋を探すことにした。 すぐに問屋は見つかり、ノエルの薬も鉱石もなかなか良い値段で買い取って貰うことが出来た。 「薬って高いんだな」 「俺が調合に使っている薬草は珍しいものが多いからな。あとは俺の腕がいい」 ノエルが使っている薬草はノエル自身が畑で育てていたものであるが、実はそのどれもがかなり希少なものである。その種を見つけることも栽培することも難しく、更には取り扱いにもかなりの知識と経験が必要なものであった。しかしノエルにとってはそこまでの苦労はない。なんといっても165年生きた中で培った知識と経験があるのだから。 その後は今夜の宿を探した。見つけた宿屋では四人部屋も空いていたが、ただでさえ2m前後の大男が三人もいるのだ。わざわざ一つの部屋に押し込む必要もないということで、二人部屋を二つとることにした。 「ダグと二人部屋は不本意だが・・・どうせ夜は出かける。帰った時に起こしても悪いから、ルーファスとレジナルドで一部屋使ってくれ」 「わかった」 四人で夕食を終えた後、ノエルとダグは昨日話していた予定通り夜の街に繰り出して言った。予想外だったことはレジが誘いを断りルゥと同じく宿に残ったことだろう。 「レジはいいのか?」 「ああ。昔から苦手なんだ」 二人と行かなくていいのかと再度確認するルゥに、レジは困ったように笑い返す。 そういった経験がないわけでは勿論ない。軍にいた頃にも仲間と仕事明けに出掛けたこともある。しかし、レジは昔からそういったことを職業としている相手との行為が苦手であった。別にそういった職業を否定するつもりはない。ただ、レジ自身は決めた相手としかセックスはしたくなかったのだ。 それはレジが番をつくる狼の獣人であることが関係しているのかもしれない。 「腹いっぱい」 「久々だったから食い過ぎたな」 普段から食料には困っていなかったが、晩御飯はつい食べすぎてしまった。宿についてすぐに旅の汚れを落とすために風呂へ入ったが、湯船の心地良さに食事の後にもルゥとレジの二人は風呂に入ってきた。満腹とほかほかに温まった体に、久々のふかふかのベッドの心地良さは驚異的なものである。 「ほら、髪拭いてやるからまだ寝るな」 「ん〜」 始めて出会った時のように相変わらず風呂上がりに髪を濡らしたままのルゥを、今はダグの代わりにレジがその髪を拭いてやる。どんなに今が温かくてもこのままでは確実に湯冷めしてしまう。 出会ってもうすぐ2ヶ月程になるが、最近になってレジは気づいたことがある。それは、ルゥが意外と甘えん坊であるということだ。今のように風呂上がりに誰かに髪を拭いてもらったり、眠くなると温かさを求めてか擦り寄ってくる。 何か作業をしていると近くに来て覗き込んで来たり、あと、頭を撫でられることが好きだ。 だからといって構いすぎると嫌そうな顔で逃げていくこともある。その様子すら気まぐれな猫のようで可愛いのだが。 「なに?」 「いや、可愛いなと思って」 拭き終わった髪をそのまま撫でていると眠そうな赤い眼が見上げてくる。嫌がられないのをいい事に頭から頬に手を滑らせ頬を撫でてみる。見た目通りすべすべとした肌が心地よかった。 くすぐったかったのか、しつこく触りすぎたのか、バシっと手を叩かれたので大人しく触るのを止める。それでも髪を拭いていた時の体勢のままレジにもたれ掛かっているのだから、引っ付くのは嫌ではないらしい。可愛い。 「今日も一緒に寝るか?」 「ここの布団温かいから今日はいい」 「・・・そうか」 レジは少し落ち込んだ。

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