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告白
「ルゥ、返事は急がないから聞いてくれ」
「?」
レジの真剣な声を聞き、ルゥは隣に座るレジの顔を見上げる。
「俺はお前の事が好きだ。それは、恋愛感情として」
「・・・俺は男だぞ」
「わかっている。それでも、俺はルゥの事が愛おしい。自分でも驚くくらいに好きで堪らないんだ」
ルゥは驚いた。そして考えた。出会って数ヶ月だが、レジはルゥの中で既にとても大きな存在になっている。傍にいると安心するし、真っ直ぐなレジの言葉はとても心地よい。
しかしそれが恋かと言われると、ルゥにはわからなかった。
ルゥの事が初恋のレジと同じく、ルゥもまた恋愛の経験が無いのだ。
その為レジの言葉に対しての正しい答えが見つからない。考え込んでいる様子のルゥを、レジは静かに見守る。そして暫くの間考え込んでいたルゥが、そっと口を開いた。
「レジの気持ちは、素直に嬉しいと思った。・・・でも、それになんて答えたらいいのかが、俺にはわからない」
レジの気持ちは嬉しい。ルゥも間違いなくレジの事は好きである。ただ、その二人の想いが同じ想いなのかわからなかった。
「それでいいんだ。さっきも言ったがすぐに返事が欲しいわけじゃない。ただ、俺の気持ちを知ってて欲しい。そんで、少しでもその事を意識してくれると嬉しい」
「ん」
「俺も初めてなんだ、こんな気持ちになったのは。だからなんだ、勝手な話だが、つい伝えたくなっちまった。嫌じゃなければ普段通りにしててくれれば嬉しい」
「わかった」
有難いことに自分達には通常より時間がある。ハーフであるレジの寿命はわからないが、受け継がれた力の強さから普通の獣人とそうかわらないだろう。だから答えを急かすつもりはない。ただ今までよりも少しだけ、意識していて欲しい。
その後少し植物園でゆっくりし二人は王宮内の部屋へと戻った。想いを伝えたからかいつもよりちらちらと視線を送ってくるルゥの姿が可愛く、本当ならそのまま朝まで一緒にいたい所である。しかし、ルゥの瞼が睡魔によりとろんとしてきたので限界だろう。
「おやすみ。今日はゆっくり眠れるな」
「ん、おやすみ」
もうほとんど開いていない目を擦るルゥが部屋に入っていくのを見送ってからレジも自室へと戻る。静かに扉を閉めた後、レジは頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「〜〜〜っ、言ったぞ、、言った!!」
つい勢いで告白してしまったが、実はものすごく緊張をしていたレジ。告白したこと自体に後悔は無いが、如何せん恋愛経験値がゼロの男。余裕など無かった。
(反応は・・・悪くは無かった、はず)
告白した後のルゥの様子を思い返してみても、悪い反応ではなかった。というより、あまりわかっていないというのが現実だろう。しかしそれは今後のレジの頑張り次第。
気持ちを伝えた事で緊張はしたがかなり心がすっと軽くなった。ひそかに影で想いを寄せるよりも隠さずに行動する方がレジには合っていると思えた。
「よし、ここからが勝負だな」
そう言い聞かせレジは明日に備え普段より早めに眠ることにした。
「整列!!今日は戦闘訓練を行う!!!」
ランスが先頭に立ち指示を出すのを少し離れた位置からルゥ、ダグ、レジの三人は眺める。訓練場に着いた時点で軽くルゥとダグの紹介をした。その際にルゥ達が獣人であること、そしてレジが獣人のハーフであることはその場にいたもの達に伝えた。
そのことを聞いた団員達の反応は様々。戦争を知らない時代の人間達である為、獣人を見たのはみんな初めてである。そのため、ルゥ達が獣人と聞き興奮する者、事実かと疑う者、初めての存在に戸惑う者。そしてその場にいる者に共通していたのは驚きという感情であろう。
「レジはこっちにいていいのか?一応まだ軍に籍があるんだろ」
「いいんだ。俺は獣人サイドだから」
ダグの隣に立つレジの姿に団員達はちらちらと視線を寄こす。数ヶ月前まで同じ軍にいて、しかも騎士団長という立場だったレジがまさかの獣人であった事への驚きが強いのだろう。
戦闘訓練は剣を使った模擬戦と、素手で戦う組手を行うようだ。
「レジナルドさん!模擬戦の相手お願いします!!」
「おう、かかってこい」
戦闘訓練が開始してからレジの元へと何人もの団員が勝負を挑みに来る。その相手を短時間で次々に打ち負かしていくレジは、かなり力を抑えているのがルゥ達にはわかった。元々の剣の技術の高さに加え獣人の力に目覚めたレジにとって、1対1の勝負では勝つことはまず無理であろう。
「ほぅ、レジの奴この数ヶ月で以前より剣の腕が更に上がっているな」
「剣の腕っていうより、身体能力が上がったから動きの余裕があるんだろうよ」
「そうか」
また一人、レジの前に膝を折る。決して団員達が弱い訳では無い。レジが強過ぎるのだ。
「ルゥ達も戦ってみないか?」
模擬戦を終えたレジがルゥ達の元へ戻ってきた。レジの言葉に周りにいた団員達も一同に反応を見せる。みんな、初めて見る獣人に興味津々なのである。
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