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通じ合った想い
レジを背もたれに温かい湯に包まれ心地良さそうにするルゥ。その体のあちこちには先程の情事の跡が至る所に残っており、白い肌には少し艶かしい。
「レジは意外と独占欲が強い」
自身の体に残った赤い跡を眺めながらルゥが言う。全身に残った跡はまるで、ルゥは俺のものだと主張しているかのように見えたからだ。
「悪い・・・」
「俺がいいと言ったんだ、謝るな」
「うっ」
自分でも暴走した自覚があるレジは罪悪感から謝れば、ばしゃりと湯を顔にかけられてしまった。
別に謝る程のことではない。
当分風呂の時間は人と被らないようにしないと面倒なことになりそうだなとは思うが、別にそれくらい気にならない。なんならナラマに言って王専用の浴室を借りてもいい。
そして何よりも身体中に残されたその跡が、ルゥは嫌ではなかった。
「・・・求められるのは、案外いいもんだな」
「え?」
王という立場としては常に求められ続けている存在であるが、レジはルゥを一人の獣人として愛し欲している。それが多少暴走し気味の時もあるようだが、そのことをルゥが気にしていないのだから問題にはならない。
「俺もレジに跡を付けたい」
「え、、、っい゛って!」
言うと同時にレジの首筋に噛み付いた。そのいきなりの行動に驚き、痛みに声を上げた。尖った犬歯が食い込み若干血が滲んだそこをルゥは満足そうにぺろりと舐める。
痛みと傷口を舐めるルゥの姿に若干顔を赤らめ狼狽えるレジ。そしてルゥが放った次の言葉で更にレジの頭は混乱することになる。
「これでレジも、俺のものだな」
「!?それはどういう・・・」
後ろで慌てるレジの様子にルゥは小さく笑う。
今まであまり他人に執着することなく生きてきた。それは常に旅をして一つの場所に留まることが無かったからというのもあるが、自身が王として求められる重圧から逃げたかったからもある。
しかし、レジに出会いランドニアに来てナラマに出会い協力を得た今、旅の終わりが見えてきた。そして今はルゥ自身が王である自分を認めつつある。
それは王であるルゥと、王ではないルゥの両方をしっかりと見てくれるレジの存在が大きかった。レジの前では獣人の王であり、ただのルゥでいられる。それがとても心地いいことだと知った。
「レジは急がなくていいと言ったけど、」
「・・・待つと言いつつ手は出してしまったが」
「ああ、意外と待てが出来ないようだな」
今のレジに耳があればぺしょんと耳を伏せているだろう。その姿を想像すると狼の獣人というよりも犬の獣人と言われた方がしっくりきそうだ。
「俺はどうやらレジのことが好きみたいだぞ」
「!!」
「一緒に居ると、とても心が落ち着く」
レジの傍はぽかぽかと暖かく触れられればとても心地が良い。自然とその暖かさを求めている自分には何となく気付いていた。
今日だって、与えられた暖かい部屋にいるよりもレジの傍にいたくてレジの部屋に行った。広いベッドで広々と寝るよりもレジに寄り添って眠りたかった。
「いいんだな?」
「これでレジへの返事になるか?」
「十分だ」
ルゥの言葉を理解したレジは思い切りその体を抱き締めた。そうすれば甘えるように首筋に頭を擦り付けてくる可愛すぎるこの男は俺のものだ、そう思うとより一層腕の中の存在が愛しく思えた。
「俺は自分が思っていたよりも独占欲が強いらしいし、たまに暴走するかもしれない。嫌な時は殴り飛ばしてくれ」
「くくっ、わかった。全力でぶっ飛ばしてやるよ」
ついルゥの事になると自分の思い通りに感情がきかない瞬間がある。その時は我慢せずやってくれと真面目な顔で言うレジがおかしくてルゥは肩を震わせた。ルゥが本気を出せば元王国騎士団長だろうと簡単に殴り飛ばすことが出来るし、ルゥならやるだろう。
「じゃあ俺からも。俺は別にレジの意思なら何をやっても怒らない。でも、レジが他の奴とセックスするのは嫌だ」
「ルゥ以外とする訳ないだろ」
「なら、それ以外はレジの好きにしたらいい。いちいち俺に確認を取る必要はない」
レジの行動はレジの自由だ。だからやりたいと思ったことはやればいいし、思ったことは素直に言えばいい。信頼しているし、レジがしたいことを知りたいのだ。もしそれがルゥの意志に反することであれば、先程言われた通り殴り飛ばせばいい。
「それにしても、いつからその、俺の事を想ってくれていたんだ?」
「んー・・・、今思えばレジが力に目覚めた辺り、だとは思う」
その頃はまだそれがどういう感情だったかは分かっていなかったが、その頃からレジの傍に心地良さを感じ始めたような気がする。
そして獣人の力に目覚めてからも、その血に飲まれることなくルゥをルゥとして扱ってくれた事で、よりレジが特別な存在になっていったのだろう。
「まあ、あとはノエルとナラマに、レジとヤれるか考えてみろと言われて」
「はぁっ!?」
「レジなら大丈夫って言ったら、肉体からの関係も時には有りだって」
「殿下となんて会話をしてるんだ!?」
そしてなんて事を言ってくれているのだ!
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