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みんな早起きだね

舞踏会の翌日は朝から各国の王が集まり、近況報告を兼ねての食事会が予定されていた。この度正式に同盟国の一員となった獣人達の代表として、勿論ルゥもその場に参加する。 が、しかし、予定の時間が間近に迫ってもその姿は現れない。 「殿下」 「んー、もしかしたらルゥ君まだ寝てるのかもしれないなぁ。ちょっと様子を見てきてくれるかい?」 「はい」 ナラマの側に控えていたランスが様子を見にルゥの部屋に向かう。 (身支度が出来ていればいいが、本当にまた寝ていたらまずいな…) コンコンコンッ 「失礼する、そろそろ食事会が始まるが準備は出来ているか?」 扉の前で待つが反応が無い。もう一度、先程よりも強めにノックをするがやはり反応が無い。 「おいおい、本当に寝坊か…?いや、もしかしたらレジの部屋にいるとか…?」 ランスは不安を覚えもう一度扉をノックしようとした所で扉が僅かに開いた。が、そこに姿を現したのはルゥでは無く、明らかに今起きたばかりだろう頭に寝癖が付いたレジであった。しかも下履きしか身につけていないレジの上半身は鬱血痕や歯型などが無数に散らばった、一瞬ギョッとするような酷い有様である。 「おー、ランスか。はよう」 「、、おまっ、!何だその体は!?というか呑気に挨拶してる場合か!!!」 「え、おいおい落ち着けよ、、って、やべぇこんな時間か!しくじったな、、ルゥ!起きろ!!」 ランスの勢いに押されつつもすぐに状況に気付いたレジが慌てて部屋の中に呼び掛ける。どうやら予想通りルゥはまだ寝ているらしい。この際レジがこの部屋から出てきたことも、その上半身がすごい有様であることもスルーすることにした。 レジに続いてランスも部屋の中へと入っていく。そこにはキングサイズのベッドの中央で布団にくるまっているルゥの姿が。 「ん゛ぅー、、ぅるさ、」 「急いで準備しろ!もう他の国王達は揃っているぞ!」 「だ、大丈夫だ!ルゥは準備にそんな時間かからない!」 二人に勢いよく布団を剥ぎ取られ、唸りながらゆっくりの身を起こしたルゥ。あちこちに跳ねた髪とまだ覚醒しきれていない顔で目を擦る。しかしその様子以上に目につくのが、、 「っっ!!?おっ前ら、!っ!どうやったらそんな体になるんだっ!!!?」 「ほらルゥ、とりあえずパンツ履け」 レジと同じく鬱血痕や歯型だらけのそれは元の肌の白さでレジ以上に大変なことになっていた。しかも全裸で寝ていたため下半身にもビッシリと付いた痕がバッチリ見えた。その異常とも言える姿に、ランスはルゥを着替えさせようとしているレジを凝視する。二人が恋人であることは周知のことであるが、幼少期から共に育った兄弟のようなレジにこのような一面があるとは知らなかった。 「あ~・・・こんな時間か、寝過ぎたな」 「予定の時間まであと3分だ。走れば間に合うさ」 「だな」 「・・・それは開始時間だろ」 こんな時までマイペースなルゥにランスは何だか力が抜けた。事前に用意しておいた洋服の首元が大きく開いていることに気付いたランスは、予備で用意してあった装飾用の布をルゥの首に巻いた。さすがにこの生々しい痕の残る肌を露出させたまま国王達の前に出すことは出来ない。 「先に向かってるからせめて頭はしっかり拭いてから来るんだぞ」 「ん」 「すぐ行く」 寝癖を直すために顔を洗うために用意されていた桶の水に頭を突っ込む姿に頭を押さえながらランスは先に食堂へと戻る。 すぐにその後追ってきた二人と共に食堂に着いたのは食事会の開始時間丁度であった。水滴こそ垂れていないが髪は濡れており、走っての登場は完全に遅刻も同然だろう。 しかしそんなことを気にする獣人の王ではない。 「悪い、寝てた」 全然悪びれているように聞こえない程さらっとそう言い席につく。その様子にナラマは笑顔でよく寝れたかい?なんて声をかけ、隣の席に座っていたエリックは吹き出した。少し離れた席に座っているレナードやテオドールやれやれといったように苦笑しているが、目が合いひらひらと手を振ってくるルゥに笑顔で手を振り返した。 「おやおや獣人は随分と朝がゆっくりなのだな」 しかしこの時間ギリギリでの登場に文句がある者もいるようだ。わざとこの場にいる全員に聞こえるように小馬鹿にした態度をとったのはコアの国王である、モーゼズ・コアであった。ビシッと固められたグレーの髪につり目が印象的で少しキツい雰囲気の男である。 ルゥのことを値踏みするかのような視線は不躾であり、ルゥの後ろに控えているレジからは分かりやすく怒りのオーラが滲み出ている。その様子に周囲の王達や側近もハラハラとしている。 しかし、その空気を全く気にしない者が二名。 「まあまあコア殿下、若者は我々のように無駄に早起きなどしないからねぇ!ハハハハッ」 「あぁ、里の連中も老人(200歳近い者)は朝が早いな」 「・・・ランドールの殿下よ、お前は私よりも10程若いだろうが」 自分よりも歳下のナラマやルゥに年寄り扱いされ顔を引き攣らせるモーゼズ。決して二人共モーゼズを馬鹿にしている訳では無い。だからこそその言葉が刺さる時もある。 「っくく、、お前、最高だな」 「?」 笑いが堪えれていないエリックにそう肩を叩かれ状況が分かっていないルゥはとりあえず頷いておいた。

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