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第6話

「どうする? 泊まってく?」  暖かな目線を向けながらネクタイを締める羽田の視線の先には、まだベッドから抜け出せない手塚。 「……いいえ、帰ります……」  くぐもった、蚊の鳴くような声が聞こえてきた。 「手塚くんは、年末年始帰省するの?」  田舎から出てきて一人暮らしをしていることもリサーチ済みだ。だがそんなことにも疑問に思わないほどに手塚はへとへとだった。まだ息も整っていない。 「……いえ……今年は帰りません……」 「じゃあ一緒に過ごそうよ」 「えっ!」 「だってまだ手塚くんの望み、果たせてないし」 「望み……?」 「僕、ピンピンしてるけど?」 「……」 「腰も立つし抱き潰されてもないよ?」  羽田は人並み外れてタフだった。手塚も人並み以上に頑張って、それなりに何度も絶頂へ導いたはずだが、まだまだすこぶる元気いっぱいだ。最中にも余裕の笑みを崩すことはできなかった。 「……申し訳ありません……」  消え入りそうな声で謝罪する手塚は、不甲斐なさに打ちひしがれると同時に、必ずリベンジしてやると闘争心に火がつきもした。  翌日から仕事始めの日まで、二人は寝食も忘れてドロドロに交わり行為に耽り続けたが、手塚の望みは果たされなかったという。 【おわり】

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