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第5話*
「あっ」
「え、まだ何もしてないのに声出てますけど」
「んー……ダメだよ、窓、閉めてって……」
「え、何? ここ摘んでって?」
意地悪く言われて、これから体に来るだろう衝撃に身構えた。
案の定、左の乳首をきゅっと摘まれたので、唇をぎゅっとかんで喉が鳴るのを抑えた。
朝陽くんは僕の肩に頭を乗せて、近距離で顔を覗き込んでくる。
表情は変えまいとするが、そこをグニグニと乱暴に押しつぶされて眉根が寄ってしまう。
布とこすれるのが気持ちいい。
「──……っ」
「あれ、すっごい腰揺れちゃってる」
五歳も年下の生意気男子に耳元で囁かれた後、耳の中に濡れた舌先を入れられた。
肌が一気に粟立ち、ガクガクと膝が震える。
手を捕らわれているので、自分では体を支えられない。
バランスを崩しそうになったタイミングで、朝陽くんの片足が僕の両足を割って間に入ってきた。太ももをぐりぐりと前後に押し付けられると、いやでもそこが熱を帯び始める。
「あっ、だめっ……」
「耀くん可愛い。もうこんなにしてる。もしかして、修介のいやらしい声聞いたから?」
ズボンの中にも手を突っ込まれ、下着の上からそこを撫でさすられると、恥ずかしさのあまりに涙目になる。
そんなことはないと思いたいけど実はその通りだ。
修介くんがどんな風に攻められているのかと想像した時から、ドキドキがおさまらない。
朝陽くんの手が上下されるたび、そこが熱く潤っていく感覚があった。
見えていなくてもどんどん硬度を増していくのが分かって、息も絶え絶えになってくる。
「あ……も、ここじゃやだよ、朝陽くん……」
「ん? イきたくないの?」
「い、きた……けど、だめ…窓、閉め……」
「だめ。俺に愛されてるんだって自覚しながらここでイけよ」
「……んんっ」
強い言い方に、腰が砕けそうになる。
竿を直接きゅっと握られ、いよいよ足に力が入らなくなってきた。
先走りの液体を、それが出てきた箇所へと擦り込むように指をくるくると回され、あまりの鋭い快感に頭が白んでくる。
僕は開いた窓から外の景色に視線を送る。
もしかしたら、このあられもない姿を誰かに見られているかも。
修介くんに、気付かれているかも。
このスリリングな状況とサディストな朝陽くんに興奮した僕は、朝陽くんの手に擦り付けるみたいに自ら腰を振っていた。
くちゅくちゅと、水みたいな卑猥な音がどんどん大きくなってくる。
「あっ、どうしよっ、朝陽くっ……イッちゃ……窓閉めてよ……お願……っ」
「イけよ。この後も耀くんのこと、たっぷり可愛がってやるから」
あれだけ声は出ないと豪語したのに、それが弾ける瞬間、一際高い声をあげてしまった。
「──あっ、やっ、ぁんっ」
朝陽くんの手の中に、パタパタと欲望を放つ。
全てを出し切った後、両手の拘束を解かれた僕はがくんと膝からくずおれた。
……あぁ! 僕は! なんて恥ずかしい声を……!
熱すぎる顔面を両手で覆う。
絶対、聞こえてた。聞かれてた。
今度修介くんと鉢合わせたら、どんな顔をすればいいのか。
後悔しても、後の祭りである。
「あー、これ、隣に絶対聞かれちゃってたねぇー」
僕は窓をきっちり閉めて鍵をかけた。
汚れた手をティッシュで拭う朝陽くんをキッと睨みつけて頭をパカパカと殴る。
「馬鹿!」
「そんなこと言われても」
「意地悪……! 絶対楽しんでたでしょ!」
「耀くんが声なんて出さないって言うから、確かめたくなって」
「もうっ、僕恥ずかしくて、明日から気まずいよ~……もう引っ越す……!」
僕はわりと本気だったのに、朝陽くんはずっと笑っていた。
でもちゃんとそのあとは、窓を開けることもなく、窓から離れた場所に布団を敷いて続きをしてくれたのだった。
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