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「俺の夢ね。俺も翼もいつか結婚して子供ができたらね、隣に住んでね、一緒に旅行とかいきたい。絶対楽しいよ。」
「………」
一気に崖から落とされたような感じだ。そういう聖夜の顔はきらきら輝いていて本気で言っているのだとすぐにわかった。
でもそれはきっと叶わない。なぜなら俺はゲイで、男しか好きになれない。まだ母にも言えていないが、いずれ言うつもりだ。どう言われるか分からないけど母さんはきっと受け入れてくれると思う。
「翼??」
急に黙り込んでしまった俺を不思議に思ったのか聖夜が俺の名前を呼ぶ。
「なんでもないよ。そうだな、その夢叶うといいな…」
叶うわけがないのをわかっていながらも、悟られないように必死に表情を作った。
ちゃんと笑えているだろうか。不安に思っていると、
「うん!!」
と笑顔でいう聖夜をみて、ほっと安心した。
(よかった。俺の好きな笑顔だ。)
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いつもより早くでたおかげで駅前で聖夜と話す時間が増えた。それだけで俺には十分だった。
「なあ、翼!今週の日曜空いてね?」
と聖夜が聞いてくる。
「空いてるけど… 」
「よっしゃー!じゃあちょっと俺に付き合ってくんね?観たい映画あるんだよ!」
「いいけど… なんの映画だ?」
「スノーマンってやつ! 」
「あ、あれな。俺も見たいと丁度思ってたんだわ。」
と、必死にクールぶっているが内心めちゃめちゃに浮かれていた。
(まじか…!2人で遊ぶとかいつぶりだ?!)
聖夜に彼女ができてからはほんとに遊べていなかった。逆にできる前は、ほぼ毎日一緒にいたのが懐かしい。
(まあそりゃ付き合ってるって言われて当然かあ…)
「じゃあ、にちよーな!!たのしみだわ!」
「あぁ、寝坊すんなよ。」
そう言ってその日は聖夜と別れた。今週は日曜日のために頑張ろうと決めたのだった。
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