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「え…?いまなんて…?」
「だから、俺来週から夏休み始まるだろ?その時に優里とお泊まりすることになって。」
いつもの朝。聖夜からの唐突すぎる報告に、俺は固まった。
「で、でも親父さんは?」
「夏休みの間、父さん出張でさ家にいないんだよ。ちょうどいいかなって。」
「そ、そうなのか…」
お泊まり。わかっている。俺もそこまで鈍くはない。きっと聖夜は、一線を超えるつもりなのだろう。
「いや、さ。あんまり待たせても女の子不安になるっていうじゃん?」
顔を赤らめながらいう聖夜に、俺の胸はズキズキと鈍く痛む。でもいつかは来ると覚悟していたからか、思ったよりも顔には出なかった。
「そうかァーー、ついにお前も童貞卒かよー。おめでと?」
心の中はくそつらい。
「いや、まだわかんねえよ?!もしかしたらって感じだからさ!」
「うるせーうるせー。聞きたくありませーん。」
「翼、拗ねないでよー。大丈夫だって。翼もいつかかわいい彼女できるよ。絶対!」
その慰めが俺の心の傷をもっと抉ってるなんて、こいつは少しも思わないんだろう。
(俺は一生童貞のままだよ。それに欲しいのは彼女じゃなくて彼氏だしな。)
多分、俺は聖夜に関わらず抱かれたい願望が強い。だから、つっこみたいなんて、童貞を捨てたいだなんて1度も思ったことがないのだ。
「うるせえよ、別に俺は彼女なんかいらねえよって。」
「またまた〜?でも翼から恋バナとか聞いたことないな。好きな人とかいたことないのか?」
「………… 」
「好きな人くらいいたことあるわ!!!」
ついムキになって言ってしまう。
「え!いたの!!だれ!?!」
(お前だわコノヤロウ!!!!)
つい暴露してやりたくなる。
「もうすぐ童貞卒業する裏切り者には教えたくないね。」
そうやってせっかく話がそれてたのに自分から地雷に突っ込んでいく俺ってほんとに馬鹿だと思う。うん。
「えぇ~気になるなぁ… あ、てか俺翼ともお泊まりしたい!旅行行こうよ!!!」
「はっ?!旅行?!」
「そう!海とか行きたい!ねえ、行こうよ!」
無邪気にそう言ってくる聖夜は超可愛い。さっきまで感じていた心のもやもやが一気にぶっ飛んでしまった。俺ってつくづく単純だと思う。
「いいよ… 」
聖夜と旅行なんて俺の心臓が持つかわからないけど、それ以上に誘ってくれた事の方が嬉しい。
「やった!じゃあ決まりな!また今度決めようぜ。」
「おう。」
そういった俺の顔は、気持ち悪いくらい頬が緩みきっていたと思う。
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「はぁ… あいつもついにヤるのか…」
朝は浮かれていたものの、やっぱり1人になると聖夜が言ってたことを思い出して落ち込む。優里ちゃんが羨ましい。なんにも悩まくても、聖夜に愛される彼女が。
あいつが興奮するってどんなかな…と考えていると、
『翼、耳弱いんだ?』
「っっ!!!」
あの日のことを思い出し、下の方がむずむずしてくる。耳を擦られる感覚と、耳元で聞こえた聖夜の吐息。今でも昨日のように思い出すことが出来る。
ズボンの中に手をいれると、俺のソレは少し起き上がっていた。
(これだけで勃つとか… 俺、ちょろすぎだろ…)
そっとパンツからソレを取りだして、ゆっくり上下に手を動かす。
「んっ、ぁっ、はぁっ」
声が俺だけしかいない部屋に響く。頭に浮かべるのはあの時一瞬見えた、聖夜の獣のような雄の顔。
「んんんっ、あっ」
もっと見せて欲しい。俺にもっと興奮して?欲情して?
「んんぅ、あっん、せぇやっ」
どぴゅっ
名前を呼んだ瞬間、射精する。我ながら変態だと自分でも思う。
こういうのって最中はいいけど、賢者タイムでくっそ冷静なるよな…
「ごめん…聖夜……」
そう言いながら涙が頬をつたう。
振り向いてくれなくていいから。俺の気持ちに気づかなくていいから。そばにいさせて。お前の笑顔を隣でずっとみていさせて。
すぐに睡魔が襲ってきてその日はそのまま寝てしまった。
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