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「え、げ、い?」
「うん。俺の恋愛対象は生まれた時から男なんだよ」
聖夜は信じられないという顔をしていた。
(まあそうだよな… いきなり幼馴染がゲイだなんて聞いたら…)
「今まで黙っててごめん。」
聖夜はどう思ったのだろう。何も思わないかもしれない。聖夜のことだ。きっと受け入れてくれる。だけど心の中では… もしかしたら気持ち悪いって思ってるかもしれない。怖い。聖夜の顔を見ることがこんなにも怖い。下を向いて聖夜の手をぎゅっとにぎりしめる。
「ごめん!!!!」
聖夜がすごい勢いで謝る。
「へ?!なんで聖夜が謝るんだ?」
「だって、俺お前に結構ひどい事言った気がする…」
「彼女お前も作れよーとか、お互いに子供ができたらとか…絶対に恋愛対象が女の子って勝手に決めつけて… 」
「ほんっとにごめん!」
聖夜が頭を下げる。なかなか頭を上げない聖夜がに俺は焦ってしまう。
「やめろよっ!それはしょうがないだろ!俺も言ってなかったんだから不可抗力ってやつだよ…」
「でも…引いて、ないのか?」
俺が1番恐れていた事を口にする。
「はっ?!引くわけないだろ!なんで逆にそう思うんだよ… びっくりはしたけど、言ってくれて嬉しいよ」
その笑顔は俺の好きな笑顔で、またまたきゅーんとなってしまう。こいつの前だといくら心臓あっても足りないなって思う。
「そっか……俺、ほぼ引かれるって覚悟で言ったんだ。聖夜に心配させたくなくて… 透さんとはその相談とかもあって仲良くなったんだ。」
「そう、だったのか… ん?でも、恋愛対象が男同士でお泊まりってもっとやばくないか?」
.........。
「た、たしかにっ?」
「おい!お前変なことされなかったか?!大丈夫か?!」
「だ、大丈夫だって、透さんとはほんとに何も無い!ゲイ友ってやつだよ!」
咄嗟に意味のわからない言葉が出てくる。
「ゲイ友ってなんだよ」
うん。俺にもわからない。
「と!とにかく!まぁたしかにスキンシップは多めだけど俺たちの間にはなにもないから!」
「スキンシップってどこまでされたんだよ…」
(なんでお前が拗ねてんだよ!!俺のこと好きかよ!かわいいな!)
「なんだよ、またやきもちやいちゃったのか?聖夜ちゃんはー。」
少しいい気になっていじってやる。
「はあ?!だから!俺は心配してるだけだっての!」
そう言う聖夜の顔は真っ赤だ。こういうとこは小さい頃から変わっていない。天使みたいだった聖夜を守ってた俺はこいつのヒーローで、べったべたに懐かれていたのだから。まぁ自分で言うなって話だけどなっ!
(でも、こいつからしたら兄弟とられるようなもんなんだろうけど。)
「で…?なにされたのさ…」
これは言うまでかえしてくれそうにないので言うしかない。
「………えーと… ハグ?」
「だけ?」
「…………………ほっぺにちゅーされた」
(いや、でも男同士のこんな話聞きたくないか?きもいよな普通…)
「.........」
聖夜がだまりこくる。やっぱりまずかったか?
「せーや、ごめんきもかったよな…」
「違うっ!!やっぱりあの男危険だよ!!俺あの男みとめらんない!!」
「えっっっ?!」
「言っとくけど、別に男同士のあれこれはよくわかんないけど気持ち悪いとは思わない。けど!あの男は…どうしても好きになれない… 」
「そ、そっか…」
「でも… 翼が唯一そういうことを相談できる相手ってのも事実なんだよな。それが俺じゃないのは悔しいけど、でもお前がそれだけ信用してるなら俺はもう何も言わない。心配はするけど…」
「せ、せいや…」
「な、なんだよ…」
笑いがこみあげてくる。めっちゃ真剣に言ってくれてるのに申し訳ないけども!だってこんなのあれだ。
「はははっ、なんか娘を嫁に出す時のお父さんみたいだな!」
と、声にだして笑ってしまう。こんな心配してくれて嬉しくてたまらない。笑いすぎて、お腹が痛いし、生理的な涙がでてくる。
「やべっ、笑いすぎて涙でてきたっ」
「……俺さ、翼の笑ってるとこ見るのめっちゃ好きなんだよな。」
急に聖夜が、爆弾を放り投げてくる。
「へっっ」
俺の顔がすぐ真っ赤になったのは、聖夜がすごく優しそうな顔して言うからだ。
(こいつは… すぐそうやって期待させるようなこといってくる…)
「なんかさー、久しぶりだよ。そんな笑った翼みたの。」
たしかにそうかもしれない。こんなに笑ったのはいつぶりだろう。
「もーいいや。なんかもやもやしてたけど今の翼の顔みたらふっとんじゃった。」
そう言って笑う透の顔はやっぱり世界一だ。大好きだ。写真とって待受けにしてやりたい。俺もそんな気持ちを聖夜に伝えたい。そう思った。
(少しだけなら…)
「俺も… 聖夜の笑った顔好きだぜ。」
でもやっぱり恥ずかしくて、声が小さくなってしまう。
「へへっ、同じだな!」
そう言われておでこをこつんっと当ててきた。
「仲直り」だ。小さい頃からずっと俺らがやってきたやつ。
「ねえ翼、話してくれてありがと。」
「俺の方こそ、聞いてくれてありがとな。」
俺も話してよかったと思った。怖かったけれど、受け入れてくれて、理解しようとしてくれて。すっきりしたし、ほんとに嬉しかったんだ。嬉しかったんだよ。
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