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「あ、そーいやお前、優里ちゃんと何かあったのか?」 ずっと気になっていたことを聞く。聞いていいのか迷ったが、まあ俺もカミングアウトしたことだしよしとする。 「はっ?!なんだよ急に。」 「いや、なんとなく表情暗かったような気がしたから…」 「…………」 聖夜が黙りこくる。 「俺でよければ聞くぞ…」 何を聞くことになるか怖かったけれど、これからはもっと色んなことを聞かなければいけない。聖夜のそばにいたいんだったら耐えなきゃダメだ。こいつが辛ければ俺が支えてやりたい。そう思った。 「……実はさ、昨日あいつ泊まってかなかったんだよね。」 「へ??」 「いろいろあって、喧嘩しちゃって… でていっちゃった。」 優里ちゃんと楽しく1夜をすごしたものだと覚悟していたから驚いた。まさかそんなことになっていたとは。 「え、なにしてんだよ!お前すげえ楽しみにしてたのに。」 「ほんとだよなぁ… なんかうまくいかなかった。」 辛そうな聖夜の顔に心が痛む。なんでそんなことになったのか。どういう喧嘩をしたのか。そこまで聞く勇気は俺にはなかった。 「さっき、俺めっちゃやな事言ったな… ごめん…」 優里ちゃんのことで聖夜に八つ当たりしたのを思い出す。 「やめろよ、さっき仲直りしただろ。」 そういって弱く笑う聖夜はとても辛そうだった。 「でも…」 「いいの!!今翼に吐き出したらちょっとすっきりした!後で電話してみるわ。さんきゅ!」 確かにさっきよりは顔が明るくなっていたので安心する。 「おう、早く仲直りしろよ。」 心の片隅にはもうこのまま別れればいいのに。と考える自分でもいて、そんな性格の悪い自分が心底嫌になる。そして表情を偽るのがだんだんと上手になっていくことも。、 (やっぱりこの気持ちだけは絶対にバレちゃダメなな…) ずっとこのままでいたい。1番近くで笑顔をみていたい。なら、それ以上のことは望んじゃだめだ。きっと気持ちを伝えたその瞬間にこの関係は壊れる。

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