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第3話
なだめて、すかして、……いやぁ、大変だ……。
「…待つならそのまま待ってて。帰ってくれてもいいから」
ぶっきらぼうに喋り俺の返答なんて聞く気も無い。
七割ほど食事が減った所で涼真はそう言い放ち、子供と風呂に入る為に部屋を出て行った。
その姿を見送って、俺はローソファーに座ったまま指を組んだ。
ツレないというか、寂しくね?
涼真とは幼馴染であんなに仲が良かったのに。
俺が一体何をしたんだ?
なあ、教えてくれよ。
「まだ居たんだ」
「そりゃあな。その為に来たんだから」
風呂上がり、スエット姿で現れた涼真はバスタオルを首から掛けていた。
「あ……部屋……ありがと……」
見回して部屋の様子が違う事に気づいた涼真は素直に礼を言った。
食事、風呂の世話、寝かしつけ……それから家事。
涼真が子供の世話をしている間に俺は自分が出来る事を勝手にやった。
散らばっていた衣類を畳み部屋を整え、食器類も洗って片付けた。
「暇だったしな…いいんだ、そんなのは」
俺の正面にやや距離をとりラグに直に座ってまだ濡れた髪を拭きながら、涼真は言葉を探しているようだ。
俺は黙って涼真からの言葉を待った。
「郁弥がどう思おうが…俺は一人でちゃんと真咲を育てるから」
「一人で?ちゃんと?出来るのか?小さな子供なんだぞ」
思わず口をついて出た言葉に涼真は噛み付いてきた。
「出来るって言ってんだろ!いくらお前だって俺の邪魔はさせないから!」
やや興奮して顔が紅潮している。
「……わかったから、落ち着けよ」
「…もう、帰ってくれ。やらなきゃならない事がまだあるんだ」
歯を食い縛った不貞腐れたような顔。
……あぁ、お前昔から頑固だったよな。
「…わかった。今日は帰るよ」
とりあえず家も暮らしている様子も分かった。
これ以上涼真の負担を増やしたくないし、…俺は素直に立ち上がった。
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