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第4話
「はあ〜……疲れた……」
玄関を入って靴をぬぐのももどかしい程、気持ちがくたびれてしまった。
涼真の家から駅に向かい線路を越えた向こう側に建つマンションに俺の部屋がある。
ここのマンションは七つ年上の姉、優羽(ゆう)の紹介で借りた物。
一人暮らしには広すぎる3LDK。
涼真の住まいからこんな近い部屋を紹介されたのは偶然だろうか。
優羽はあの事を知らないはず。
だから……偶然には違いないはずなんだ。
寄りかかった壁に手を付き、重い足取りで室内に上がった。
スカスカの冷蔵庫からビールを取り出し栓を開けてぐっと煽る。
リビングの明かりをつけて目に飛び込むのは山積みになったダンボール箱。
「早く片づけもやらないとなぁ」
缶ビールを片手にビーズクッションに身を委ねた俺はごくごくとビールを喉に流し込んだ。
料理や掃除といった家事は嫌いではない……
……だがこっちに戻ってきてまだ一週間、慣れない仕事や手続きがあって家の事に手が付いていないだけ。
それに……手紙……。
咲百合(さゆり)からの手紙が俺の心を掻き乱すんだ。
涼真と結婚して子供を産んで、幸せに暮らしていると思っていた。
だけど……
「はぁ……」
考えるのも嫌になって俺は飲みかけのビールを台所に置き捨てて、風呂に入った。
両目を閉じて熱いシャワーを頭から浴びる。
脳裏に浮かぶのは、涼真、君の事。
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