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第8話
「あ〜ツイてない…」
ぼんやりしていたせいで業務が押し、食堂に出遅れたせいで楽しみにしていた本日の目玉のカツカレーがもう品切れ…。
「今日はカツカレー食べたかった…」
キツネうどん(大盛り)に話し掛けるが返事なんかある訳ない。
「はぁ……んん?旨っ!」
え?うどん、前より美味くなってんじゃん。
社食スゲェ…。
空腹の俺はズルズルとうどんを啜って勢いよく腹に収めていく。
「よ、いい?」
目の前に唐揚げの乗ったトレーを置く男…なんだ中黒じゃないか。
「え、やだよ」
朝のアレを思い出し拒絶してみる。
「何?うどん食ってんの?若いんだからもっとボリュームあるの食べなよ!」
どこのジジイの説教だよ!そして人の話聞け!
「そう?悪いな」
俺は中黒のトレーから1番大きな奴を摘んで口に入れた。
へへん、仕返しだ。
「あふあふっ!わ!旨」
「だろ〜、違う!勝手に食うなよ!」
中黒友仁は人との距離が異様に近いが凄く気遣いの出来る良い奴で同期の中で一番のコミュ強だ。
「今日は遅いんだな」
「言ってる中黒だってそうだろ?」
「そうだったわ。うっま!」
まだ湯気の立つ唐揚げを美味そうに食べる中黒は何かを思い出したように俺の顔をじっと見た。
「こっちに戻ってきて…十日?」
「んにゃ、一週間ってトコ」
「東藤の事…知ってるか?」
東藤…涼真の事…?
中黒が声のトーンを落として呟いた。
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