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第13話

俺と涼真の小さな世界は小学校が終わる頃まで続いた。 幸せに包まれたジオラマみたいな世界。 見る物触れる物全てが輝いて、幸福な時間しか存在しない愛しいおとぎ話の世界。 だが魔法はいつか解ける。 小学校卒業まで一年を切ったか切らないかという頃、二次成長の兆しが俺にかけられていた魔法を弱めた。 涼真に触れられると胸が痛み、身体の一部分が変化する。 今となってはごく当たり前の反応だったと思う。 だが当時の俺は酷く驚いて…自分を責めた。 他の男子の様にあるべきはずの異性への関心が全く無い。 同性の…涼真にしか関心の持てない自分。 そんな自分に、これは神様が与えた罰だと思い込んだ。 自分は涼真から離れなければ。 でなければ涼真が…涼真も、俺と同じように神様から罰を与えられてしまう。 今となっては謎だが、当時の俺はそう信じて疑わなかった。 「ん…?」 枕元に置いてある携帯が明るく光っていた。 「電話…誰…?」 閉じようとする瞼を無理やり開け、だが眩しさに再び目を閉じる。 「…unknown…」 一瞬目に入った文字は登録の無い番号からの発信である事を告げていた。 「んん…はい…誰…」 『郁弥…ゴメン…こんな時間に…』 電話の相手が涼真だと分かった途端に眠気はどこかに吹っ飛んで行った。 「涼真…?どうした?」 『 真咲が苦しがって泣いてるんだ。体も熱くて…どうしよう…俺…』 明らかに動揺した声。 「落ち着いて。これから行くから」 俺はベッドから飛び起きて上着と財布、携帯を引っ掴んで家を飛び出した。

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