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第23話
「涼真、俺と一緒に暮らしてくれないか?」
「…え…でも…」
戸惑いを隠せない涼真の瞳が揺れる。
「…こ…恋人…、郁弥の恋人に悪いよ…」
「いた事無いし。それに俺、一人でいるからさ、結構寂しいんだよ」
「…でも…」
言葉を選んでいるのだろう。
何かを言いかけた唇はすぐにキツく閉じた。
「正直、この状態は綱渡りだと思う。お前家事全般苦手じゃん。でも俺なら出来るし真咲にも教えられる」
「…う…」
「真咲はすぐに大きくなって何でも出来るようになる。でもそれはキチンと教えたら、だ」
ぐっと唇を噛んで、何かを堪える涼真。
「迷惑…掛けたくない…」
逸らされた瞳は濡れたように光っている。
「迷惑なんかじゃない。俺は頼って欲しいんだ!」
涼真の側に寄り、床に付いた涼真の手に俺の手を重ねた。
「手伝わせてくれよ…お願いだ…」
「…い…いの?迷惑かけるよ?……ありが…と…」
ぐっと堪えていた何かが途切れたように俺の手の上に涼真の涙が落ちた。
俺は涼真の背中に腕を回し、身体を抱き寄せた。
「味方なんて…居ないと思って…た…」
「いつだって、何があったって俺は涼真の味方だ。ぜったい離れない」
…もう、二度と離すもんか…。
絶対に…だ。
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