24 / 322

第24話

涼真を説き伏せて同棲…もとい、同居を容認してもらった。 …顔がニヤける…。 泊まった翌日の日曜日、昼まで真咲と近くの公園で遊び昼飯を食べた後で自分の部屋に帰ってきた。 俺が帰ると分かって、真咲は今にも泣きそうな顔をしていたが涙を零すことは無かった。 ちょっと寂しかったが泣かれるより、いい。 この数年間で俺と涼真を取り巻く環境はあの頃からは想像できない程に変わってしまった。 高校を卒業する頃までは家に来ていた涼真も大学進学を機に家に来る事は無くなった。 それは涼真が子供ではなくなってきた事実もあったが、彼の両親が離婚して親同士の繋がりが薄くなった事も大きかっただろう。 働く母親を助けながら勉強していたと最近日本に帰って来てから聞いた。 俺は何も知らされていなかった。 知ろうともしなかった。 だから咲百合からの手紙を読むまで、涼真の事を心の一番深い所に閉じ込めていたんだ。 「熱っ!」 考え事をしながら肉を焼いていたらフライパンの縁に手を当ててしまった。 赤く熱をもった痛み。 火を止め流水で患部を冷やし、大きく息を吐いた。 …心が落ち着かない。 不安や嬉しさや期待が胸を占め、ソワソワと落ち着かない。 涼真と真咲と、上手くやっていかないと…。

ともだちにシェアしよう!