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第27話
「浮かれてるからかな…」
真咲が振り回していた猫のぬいぐるみが床に転がっていた。
まさかそんな物が落っこちてるとは思わずに猫の顔を踏んづけて…アホだな…。
痛かったのはプラスチックの目玉とヒゲ。
「荷物のせいで足元見なかったからか…」
ダン箱からはみ出た布地をその隙間から中に戻そうとしたがレースの繊細な生地がガムテープにくっついていた。
「ちぎれるか?…仕方ない。ガムテープ一旦剥がそう」
他人の物を勝手に開けるのは気が引けるが…男同志だし…と軽い気持ちでテープを剥がす。
「お…ちょっとベトベトするけど、ま、大丈夫。これハンカチ?……ん?」
白いレースが、あしらわれたハンカチかと思いきや…下着?
あぁ、咲百合の…とってあるんだ。
きっと処分出来なかったんだろう。
見てはいけないと思いつつ、そっと持ち上げた。
白いのと黒いとピンクの…数枚の下着、ブラジャー、そして…かなりエロいパンツ…これはいわゆる紐パン…?
うわ!隠れるの?布少な!
でも一番下には布ではない重さの物。
好奇心で衣類をどかす。
「これ…何で…涼真が…?」
ゴロゴロと幾つかのモノが入っていた。
小さな子供がいる家庭には不釣り合いな…大人のモノ。
「いや、…何でこんな…まさか涼真…」
誰が使うのか想像するしか出来ないが、想像していいのか?
いや、ダメダメ!
「ガムテープ…どこだ?」
俺は焦りつつ立ち上がった。
元に戻さないと…涼真が戻ってくる前に。
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