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第29話

「郁弥、今日から真咲共々よろしくお願いします」 部屋に入るなり 涼真は深々と俺に頭を下げた。 …そんなのいいのに。 俺が望んだ事だから。 「俺の方こそ、小さい子と生活した事ないから役に立てないかもしれないけど…でも頑張るよ!」 「あ〜!ぱぁぱ!とと!」 真咲も何だか嬉しそうで、とても賑やかで楽しくなりそうな予感がした。 俺と涼真、真咲の三人の生活は最初から順調…ではなくて、これが不運等いろいろあって慣れるまでは大変だった。 まず真咲の通う保育園の事。 スーパーで涼真が肩から下げていた デカい保育園バッグ。 その中に名前記入済み紙オムツ、着替え、タオル三枚、食事用前掛け二枚、連絡ノートを入れる。 汚す前提なのでとにかく量が多い。 ノートも子供の様子を朝記入しなくてはならないので正直面倒…。 朝の忙しい時間に書くとか…鬼かよ、って正直思った。 送る時間、迎えの時間もほぼ決まっていて突発で延長保育に入れたりもするけどとにかく忙しい。 涼真はよく一人でやっていた、と思う。 涼真が保育園の方に話を通してくれたので、これからは俺も真咲の送り迎えが出来る事になった。 出番は少ないだろうけど少しでも涼真と真咲の為に力りなりたかった。

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