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第35話

「何か?」 「いえ…その、…東藤さんとはご友人だと伺ってるんですが…同居もなさってるんですよね?」 「はい、そうです」 …ん? そんなに不思議? 「子供がお好きなんですね」 「…いや、そこまでは…」 「小さな子供がいるって家族でも大変なんです。まして未婚のご友人。本当に仲がいいんですね」 …何だろう、この人… 何が言いたい…? 「とと、こえ」 俺を見上げる真咲はお菓子を決めたようだ。 約束通り、三つのお菓子を手に握っている。 「真咲、カゴに入れて。先生、これから晩飯なんで、これで失礼します」 「そうですよね、突然話し掛けてすみませんでした」 真咲の手を引いてさっさと先生に背を向けレジに急いだ。 普段世話になっている先生だから。 だから何も言わなかった。 好奇なのか、若干の悪意を含むのか… どっちにしてもいい気持ちはしないな。 支払いを終えて荷物をマイバッグに放り込んだ。 「真咲はこれ持って」 「あい」 電気ネズミの絵がついた小さなバッグにお菓子を入れて真咲に渡した。 適材適所って言葉は大人の為の言葉で、子供のうちにどんな事でもさせなくちゃならない。 自分は出来ない、子供だからやらなくていいなんて、言って欲しくない。 少しでも自分の事は自分で出来るように、それが家事の苦手な涼真に代わって俺が真咲にしてあげられる事だから。 「真咲、俺とハンバーグつくろうか」 「とと、しゅるー!」 帰り道、きゃ〜、と真咲が嬉しそうな声をあげた。

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