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第63話

「郁弥!早く出して、汚いから!」 熱を吐き出して我に返った涼真が慌てて起き上がった。 だが時すでに遅し。 「…あ、飲んじゃった…。でも好きな奴のなら…いいか」 「……」 呆れてるのか、黙って俺を見る涼真。 だがその視線は下に向き、俺のアレに気がついたようだ。 「俺ばっかり気持ちよくて…郁弥の…その…今度は俺が…」 涼真の手が俺の下腹部に届く直前、コンコン、とドアをノックする音。 ひえぇぇぇ…!真咲ぃぃぃ…!! 鳥肌が逆立つように震えて、慌てて気崩れた衣類を二人揃って直す。 「は…入っておいで。真咲」 取り繕った声で涼真が応えればおずおずとドアの隙間から真咲が顔を見せた。 「パパ、とと…そっちに行って…いい?」 「もちろんだよ。おいで」 ててっと足音も軽やかに真咲が走ってベッドにジャンプした。 「真咲、ちょっとだけ寂しくなっちゃった…?」 「…ううん、パパと ととの顔を見に来たんだ。でも眠くなっちゃったから…ここで寝てもいい?」 来年小学校に上がるとはいえ首を傾げて涼真と俺を見上げる姿はまだまだ可愛い保育園児。 俺は真咲を抱き締め頬ずりしていた。 「いいに決まってる。俺と寝よう、真咲!」 「とと…痛いよ」 やっぱり一人寝には少し早かった。 でもこの瞬間を逃せばこれから加速度的に成長していく真咲のこんな可愛い姿は二度と見られないだろう。

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