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第69話

「…いいの?俺、止まんないよ?」 開いた口は緊張で中が乾いて、いくら唾液を飲み込んでもちっとも潤わない。 「…郁弥が、ずっと…欲しがってくれてるの…嬉しかった。俺だって…ほしかった…んだ…」 ぎこちなく話す涼真。 きっと俺より緊張してる。 「…涼真とは初めてだから…どこまで出来るか分からないけど…それでもいい…かな?」 「……」 肩口に顔を埋めたまま、涼真の頭が僅かに動いた。 …嬉しくて、背中からブルっと震えが走った。 ベッドに片膝を乗せ涼真を誘導する。 涼真はベッドの縁に座って俺の頭を抱き寄せ、ゆっくりとベッドに横たわると俺は引き寄せられるように涼真の上に覆いかぶさった。 キスは割としている。 二人きりになった瞬間に。 触れるだけのものから、お互いの深い所まで求め合うようなものまで。 当たり前だが真咲に気を使ってそれ以上はなかなかチャンスが少ない。 心臓がうるさいくらいにドキドキとして焦る気持ちで指先が震える。 キスをしながら涼真の上衣を脱がし素肌に手のひらを滑らせた。 「…郁弥…もっと、キス…」 求められて顔を近づけ、唇を重ねた。 頭の横に肘を付き、涼真の髪を撫ぜる。 深く交わるキス。 舌をめいっぱい伸ばして歯列も上顎も全部夢中で舐って、涼真にしたたか唾液を飲ませた。 それから涼真の顔を濡らす飲みきれなかった唾液の筋を舐め取り、そのまま舌を首筋に沿って這わせ涼真の味を堪能した。 「…ン…ツ…」 自分の指先を口に咥えても、堪えきれない嬌声が涼真の口から零れる。 顔も、身体も、じんわりとピンク色に染まる涼真は…とても…とても綺麗だ…。

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