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第78話

「…でね、たんにんの先生が大谷つばさ先生なんだ」 「そうか。勉強、楽しみだな」 「うん!」 真咲と二人で散歩するのも久しぶり。 入学式の事やクラスの事について熱く俺に語っている。 「いーっぱい勉強してね〜、なっちゃんのお仕事手伝うの〜」 「そっか楽しみにしてるからな」 夏羽は医者になるって言ってるらしいから真咲は看護師か? それとも…薬剤師とかナントカ療法士とか…検査技師? 思いつく限り想像してみたらまだ10年以上先の事だって気がついて一人で笑ってしまった。 「ふふ…」 「とと…どうしたの?」 「何でもないよ。夜は何を作ろうか?」 「僕ねぇ…」 俺と真咲しかいないのに口元に手を添えて耳打ちするようにつま先立ちになって小さな声で真咲は言った。 今、涼真はここにいないのに。 …三人でいるのが、当たり前…。 漠然とした小さな歩幅でも、未来に向かって真咲は一歩一歩進み出している。 「ただいま〜。パパ〜」 「よいしょっと」 買ってきた荷物を持ったまま、真咲は器用に靴を脱ぎ室内に走っていった。 「子供ってせっかちだよな」 毎日新鮮で楽しい事がいっぱいあるのだろう。 「さっさと片して涼真の手伝いしよう」 真咲に持たせた荷物の倍は重量のある荷物を持ち直し、俺も室内に上がった。 涼真は出かける前まで真咲が遊んでいたラグの上でスースーと寝息を立てていた。 「涼真…は寝ちゃったのか。真咲、冷蔵庫に入れるから食材渡して」 「はーい」 有能な助手と買ってきた物を仕分けながら仕舞えばすぐに終わった。 「ありがとう、真咲。遊びに行っていいぞ」 「はーい。なっちゃん家に行ってきまーす」 パタパタと軽やかな足音で真咲は玄関に走って行った。

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