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第80話

「O型…」 …そこに書いてある文字に違和感を覚えた…。 おかしい、おかしくないか? 確か涼真の血液型はAB型だったはず。 驚いてクラクラする頭で、俺は はるか十年以上前の事を思い出した。 「あの時…確か…」 理科で血液型の優劣の授業を受け、教室内が将来生まれる子供の話で盛り上がった日があった。 休み時間が終わっても話は尽きることは無く…次の国語の授業になっても教室内はずっと話し声が続いていた。 授業開始から数分後、先生は叱るでもなく突然問いかけた。 「先生はO型だから生まれる子供はAB型以外だね。君達は?O型?A型?B型?じゃあAB型は?」 そう言って血液型ごとに挙手をさせると、不思議と教室内は落ち着き出した。 「気になる子の血液型は分かったかな?じゃあ授業始めるよ」 その時俺はA型、咲百合はB型、涼真はAB型で手を挙げた。 そりゃ聞いたのは十年以上も前だけど…間違うはず…、無い。 逆に涼真が真咲の血液型を勘違いしてるとか… でも、父親が我が子のを間違うなんて。 …それならそもそもが間違ってンじゃないのか? 「そうだ!姉ちゃん所で血液型調べて…」 テーブルにバンッと両手を付いて腰を浮かせかけて…また座った。 …調べて…どうするんだ…。 それに先生と咲百合なら…O型が生まれても問題ない。 …いや、余計な事、考えるな! 俺は…他人なんだ。 涼真と咲百合と真咲、三人の家族関係に俺が疑問を持っちゃいけない。 AB型とB型からO型が生まれる事だってあるかもしれないし…。

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