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第81話
「ん…郁弥…?帰ってたんだ。ふぁ〜悪いな…寝ちゃった」
「ん…?あ、あぁ…いいんだ。えっと…そこ狭くなっちゃうからさ、俺こっちの床ででブロックに名前書くよ…!」
「そう?ありがと。じゃあ俺はプリント書くわ」
両手を天に向かって大きく身体を反らし、ふぁ〜とアクビをして涼真はテーブルに着いた。
ボールペンでスラスラと続きを書き綴る涼真の顔を少し離れた床から俺は眺めた。
聞きたい…でも、聞けない。
少し休んだからか集中力も戻ってきたようで、ペンは滑らかに動き続けた。
俺はマジックペンを握る手に無意識に力が入った。
「うわぁ〜〜!!とと!美味しそう」
「すごい豪華〜!」
「さあ、食べよう」
入学のお祝いに真咲が食べたいものを作った。
ちなみに、真咲のリクエストは“ 生のお魚 ”
お刺身じゃ特別感が薄いから…って言っても料理人じゃないから、出来る範囲で。
「綺麗だね、ちらし寿司?」
「ばら寿司…のつもり」
酢飯の上に具材を散らす ちらし寿司もいいんだけど…ばら寿司の方がより贅沢感があって、こういうめでたい日にはいいかもって思った。
「ご飯の中にお魚もいっぱい!」
「酢飯に混ぜてあるからな!」
「はやく食べよう!!」
取り皿に分けるのも待ちきれないのか、真咲はテーブルに手を付いてピョンピョン跳ねていた。
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