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第91話

「美味かった。ありがとう郁弥」 二人きりでいる時の涼真はひどく可愛い。 ほろ酔いでいつもより血色が良く目がトロンとして見えるせいか普段より幼く見えた。 「ワインはどうだった?」 「ん、香りが良くて…色が綺麗」 ロゼのスパークリングワイン。 ほんのりピンク色でフルーティーな香りがする。 「涼真、飲みすぎちゃったね」 「…酔ってないし」 「風呂に入れる?」 「…んー…どうかな…?」 テーブルに頬杖なんかついて小首を傾げる…こんな涼真を誰にも見せられない。 いつの間にか小指の爪を噛んで、席を立つ俺を目で追っている。 「それってさ、誘ってるの?」 肩に顎を乗せるようにして後ろから涼真を抱きしめた。 「…ふふ…そう見える?」 そうにしか、見えない。 …でも、俺は凄く嬉しいんだ。 「一緒に…シャワー浴びよう?」 「…ん…あ…」 返事を待たずに唇を近づけ、涼真の細い首筋に薄く一つだけ赤い花を咲かせた。 「ん…きもちい…」 仕上げにザーっとシャワーでお湯を掛けた。 涼真の丸洗いを一度やってみたかった。 真咲には数え切れない程した事。 それも小学校低学年まで。 俺は涼真も洗ってみたかったんだ。 …俺の手で。 「俺も洗ってやる」 濡れた髪から雫が垂れ、バスルームの床に落ちた。 「ありがと…でも」 視線を落とせば涼真のそれも一緒に落ちていく。 「もう…待てない…」 正面から涼真の身体を寄せ、昂る俺を涼真に押し当てた。

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