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第101話
暑い日だった、と思う。
春か…初夏の頃。
小学校の最高学年だったかな、いつものように涼真と二人で一日遊んだ休日、昼食を取った午後に二人で揃って昼寝をした。
俺は随分と背も伸びて、百六十センチを優に超えていた身体を小さく折り畳んで眠っていたんだ。
ただ、その日は本当に暑くて…額や、畳にくっ付いていた脇腹がじっとりと汗ばんで、気持ち悪くて目が覚めた。
伸びかけた髪が肌に張り付き汗で濡れた体は不快でしかない。
家の中は涼真の寝息が僅かに聞こえているだけで、母は用事があったのか姿が見えなかった。
ゴロンと寝転んで身体の向きを変えると、目の前に涼真の背中。
ゲンコツ一つ分自分より小柄な身体は自分より一回り細く、華奢だった。
涼真が着ていた白いTシャツは寝返りのせいで捲れ上がり、背中が直に見える。
腕と違って日に晒されていない白い肌。
引き寄せられるように俺の指がその背中に触れた。
「あ…汗…」
しっとりと濡れた背中は手のひらで触ると気持ち悪いはずなのに、ヒュッと気管を通る空気の音がして何故か胸がドキドキした。
男同志だしいつもふざけて抱き合っている身体なのに…初めて感じる高揚感。
顔が熱いのは気温のせいだけだろうか。
まだそこから離すことが出来ない手のひらを首に向かって動かした。
手首に引っ掛かったシャツはそのまま持ち上がって涼真の背中が顕になる。
ゴクンと喉が鳴った。
細くしなる背中に引き寄せられるように顔を近づけてペロリと舐めた。
「しょっぱい…」
汗の塩気と湿度を孕んだ体臭。
子供心に……たまらなかった。
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