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第110話

頭を抱き髪を愛おしく撫でた。 自身の、本当の子ではない真咲。 でも…求められて涼真は必死に応えようとしてきた。 「真咲はいい子に育ってる。…育てたのは…間違いなく涼真…お前だ」 「…俺は…咲百合を愛していた訳じゃなかった。でも、同士として…見過ごせなかった…。真咲の事だって…下心があったから…。俺が欲しくても手に入らない、諦めていた…家族…」 「…真咲の父親は…、家族はお前だ、涼真。間違いない。もう、一人で苦しまなくていい」 俯いていた顔を上げた涼真と目が合った。 泣きすぎて瞼は腫れぼったく、顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。 …愛しい。 …優しくて、強い。 …俺が…愛する人…。 「俺がいるだろ。…俺と生きていけば、いい」 「でも…郁弥は俺とは違う…」 「何も違わない!違う事なんて、何も無い!」 「…いいの?本当に…いいの?」 「嫌だって言っても…絶対に離さないから…」 「…俺だって…離れてやらない…」 胸に顔を埋め、背中に手を回す涼真。 控えめに抱かれ、俺は…ギュッと抱き返した。 温かな体温が気持ちいい。 だが腕の中の涼真はモゾモゾと動き出し俺を見上げた。 「イチャイチャ…する…?」 「…あ…」 赤くなった目元で見つめられ…ドキンと胸が鳴った。 「うん、しよう。イチャイチャしよ」 涼真を抱えて俺は寝室に向かった。

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