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第111話

寝室は一晩中温もりを確かめあった痕跡が生々しくて、シーツは皺くちゃで枕もベッドヘッドにもたれた状態だった。 「まず…シーツ替えようか」 「そうだね…はは」 顔を見合わせて二人で笑った。 掛け布団と枕をどかし、二人で新しくシーツを掛けるとまず涼真がベッドに寝転がった。 「ほら、郁弥。来てよ」 「ああ」 両手を伸ばして涼真は俺を呼ぶ。 隣に体を滑り込ませ触れずにじっと近距離で涼真を見つめた。 「俺…涼真と真咲と家族になりたい」 一瞬、ビックリした顔をして…それから涼真は口をキュッと結んだ。 「もう…家族だ。郁弥も真咲の父親と同じ」 「…うん。ありがとう…」 コツンとおでこを合わせ、目を閉じる。 自分の存在を涼真に認めてもらった、…そんな気がした。 「ねえ、郁弥…」 目を開けば再び涼真と視線が絡む。 「…ね、触ってもいい?」 色のある目つきで涼真が誘う。 「…うん。いっぱい触って」 手をシャツの裾に潜り込ませ涼真の手が腹筋をなぞった。 「…脱がせても…いい?」 「…うん」 涼真が膝立ちで俺の体を跨ぎ、たどたどしく服を捲る。 「ほら、俺にもさせろよ」 そう言えば涼真は体を前に倒して俺の手を腰に誘導した。 「ぬ…脱がせて…」 シャツの裾をを勢いよく引っ張ればボサボサ頭の涼真が恥ずかしそうに俯いていた。

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