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第112話
服を脱ぎあって…裸になって、…抱き合って。
昨日、散々愛し合ったのにまだ足りない。
手のひらで、唇で……身体の隅から隅まで辿るのももどかしいくらい…。
それでも体温を感じたくて涼真の胸に頬を押し当てた。
「…郁弥こそ…可愛いじゃん」
……む…。
…可愛いのは、涼真だっていつも言ってる。
「…甘えていいんだろ?」
「…うん。たまには甘えられたい…」
仰向けの涼真に覆いかぶさったまま、片手だけ恋人繋ぎにしてみた。
緩く握られ、ギュッと握り返した。
涼真の手は俺の髪を混ぜ、背骨を辿る。
「郁弥の身体、男らしくて…好き」
「まさか、体目当て…」
「違うよ!」
「おれだって涼真の身体…靱やかで腕にすっぽりと納まって…エロくて…好き」
「…恥ずかしい事、言うな…」
「やだよ、言う」
それからは言う、言わないの応酬を続けたあとゴロンと転がって体勢を入れ替えた。
「重かったろ?」
「平気だよ。俺、男なんだから」
「こっちの方が両手で触れるし…」
俺はそう言って涼真の脇腹から太腿を撫で下ろす。
「…ちょっと!触り方がいやらしいよ」
「いいんだよ、これからいやらしい事すんだから!」
頬を染め、恥ずかしそうに唇を噛む。
あんな事やそんな事をしても、涼真はまだ赤い顔をするんだ。
金曜日の午後、まだ日が高いのに俺は涼真の頭を引き寄せて深く口付けをした。
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