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第115話
空はやや赤みを帯びていて、若干夜に傾きかけた時間帯。
俺と涼真は二人で買い物に出掛けた。
まだ甘い雰囲気を纏っているせいで手を繋いで歩きたい気分だったがそこはグッと我慢。
二人ともジーンズにシャツという似たような姿で外に出た。
今日はいつもと違う所。
隣駅のスーパーへ。
夕飯の買い物には少し時間が遅いのか…店の前には人影がまばらだった。
もう少ししたら仕事帰りの人達で賑わうのだろう。
遅い朝ごはんを食べてから時間が経ち、歩いている途中で幾分空腹を感じ始めた俺。
スーパー目前のキッチンカーから漂うたこ焼きのいい匂いに引き寄せられてしまった。
「なあ、これ食べようぜ」
ズボンのポケットに手を突っ込んでるから肩で肩を叩いた。
それに応えるように涼真は肩をくっ付けて頭をこっちに傾ける。
うわっ!涼真がデレてる?
「今?」
「もちろん。うーん、粉物っていい匂いするよな〜」
美味そうな匂いを胸いっぱいに吸い込みながら車体に立て掛けてある看板を見た。
「一舟七個入り…二舟買おう!」
満面の笑顔で同意を求めれば、やや苦笑い風に涼真は微笑んだ。
「全く郁弥はしょうがないなぁ」
…あぁ、可愛い。
ちよっと呆れた風に言うその顔も。
無意識のうちに手が伸び、涼真の頬を撫でていた。
「ここ、外!」
「…スマン」
顔を赤らめて唇を尖らせる涼真。
「もう…米十キロ買って持たせるからな!」
そんな涼真の言葉は聞かなかった事にして、俺は従業員と思われる男に声を掛けた。
「すみません、二舟下さい。ソースたっぷりで!」
ショーケースに腕を置いて車内を覗くと、中にいた男が俺を見下ろした。
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