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第118話

男三人、住宅街を無言で歩く…。 昔は いく、いく、と俺に甘えてだっこを所望してきたのに、夏羽は黙って後ろを付いてくる。 成長するってこういう事なんだ。 何だか寂しさを感じてしまう。 一緒に帰ろうと言ったのは俺なのに、何を話したらいいのかやや戸惑っている。 夏羽の家は裕福だからアルバイトする理由は見当たらない。 …でも親に内緒ってトコロが俺には引っ掛かるのだ。 並んで歩く涼真がそんな俺の顔を覗き込むような仕草をして、ウインクして見せた。 「そうだ夏羽くん、ウチでご飯食べていきなよ」 「え…?」 「今ね、真咲が家にいないから少し寂しいんだよ。郁弥のご飯、めちゃウマだよ?いいだろ、郁弥」 「あ…ああ、もちろん。俺の料理の腕前、見せてやんよ」 ドヤ顔でそう言えば夏羽はクスッと笑い、足を止めた。 「じゃあ、お言葉に甘えて…美味しいご飯食べさせてください。郁弥叔父さん」 叔父さんは余計だっつーの。 「おおう。楽しみにしてな」 凄いな、涼真。 涼真の提案はこの場を一瞬で和ませた。 帰宅早々に米を研ぎ、食材の準備。 視線を感じて振り向けば台所の隅で夏羽が居心地悪そうにこちらを見ていた。 「優羽に連絡したか?」 「メール送ったらすぐに返信が来て、いいって」 「それじゃ、手洗ってからコレ」 いつも真咲が使っているエプロンを夏羽に向かって投げた。 「これ…?」 「働かざる者食うべからずってな」 「料理は…あんまり…」 「教えてやるからさ、身構えんなよ」 「…うん」 すぐにエプロンを装着する夏羽は昔と同じ、素直なままだった。

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