126 / 322

第126話

「お土産はね、漬物とお蕎麦とお饅頭」 「渋っ…!」 「どれも美味しそうじゃん!明日は蕎麦にするか」 「やったー!」 真咲のリュックサックの一番上にはお土産が詰め込まれていた。 大事そうにそれを涼真に笑顔で渡す真咲。 初夏の日差しに幾分日焼けして帰って来た。 男らしくなってんじゃん。 「どうだった?楽しかった?」 「ハイキングが地味に辛かった」 部活で筋トレとか基礎練してんのに? 「皆歩くの遅くて。写真撮って時間潰してた」 「そっか。後でテレビに繋いで見ようぜ」 真咲は記録班でカメラの携帯が許可されていた。 この校外研修を機に、俺のお古のカメラを真咲に譲ったんだ。 最新機種ではないけれど、小型で使いやすそうな物を。 写真は贅沢しなければプリントしない限りお金もかからない俺の趣味の一つ。 と言っても風景写真やスナップ写真を撮るくらいで、最近は真咲と涼真しか撮ってないが。 「とと、今日の晩御飯は、何?」 「今日は…何だと思う?」 「魚かな、お肉かな?何でもいいよ、美味しいから!」 校外研修がよほど楽しかったのか夜までずっと真咲のテンションは高かった。 食事を終え風呂に浸かり真咲の撮った写真でスライドショーを楽しんでいたらもう子供は眠る時間。 「とと、まだ見てるの?僕もう寝るね。おやすみなさい」 「おやすみ」 真咲は同じ年頃の子供よりしっかりしている、と思う。 俺としてはもう少しだらしなくてもいいんじゃないかって。 真咲がそういう性分でやってるならいいけど…。 「郁弥、早く風呂に入っちゃいなよ」 「あ、今!今入るから!」 テレビ画面には広大な風景と同級生の子供達。 真咲はどんな気持ちでこの写真を撮ったんだろう。 明日、聞いてみよう。

ともだちにシェアしよう!