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第149話
二人分の簡単な昼食を用意して、涼真とテーブルで向かい合わせに座りゆっくりと食べる。
窓から見える空、まだ日差しは高く強い陽射しが降り注いでいた。
ベランダではさっき干したばかりのシーツが気持ちよさそうに揺れ、どうやら少し風が出てきたようだ。
「この先、どうなるんだろうな」
「…何が?」
「家を出ていくとか言い出すのかな」
チャーハンを掬ったままスプーンが皿の上に留まっている。
「今すぐって事は無いだろ。真咲が自立するまでまだ時間はある」
「…そうだな」
儚げに微笑む涼真。
俺は涼真にそんな顔をさせたくないんだ。
「寂しそうな顔すんなよ、真咲が見たら心配するだろ?」
「…うん」
「食ったらスーパー行こ。今日は涼真が食べたい物作ってやるよ」
「ありがと。何が食べたいかなぁ」
「…とりあえず目の前のチャーハン食ってくれ」
俺は部屋を整えたり飯を作るしか出来ないから。
二人に笑顔になってもらえるように美味い飯を作るんだ。
いつもと同じ分量で作ったはずなのに胸が詰まってスプーンが進まない。
でも全部腹に納めた。
俺は普段通りにして二人に笑っていて欲しいから。
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