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第158話
「ご…ごめんな…さ…」
俺の体の影に隠れるようにして、シャツにキツく皺が付くくらいに握り締め、絞り出したようなか細い声…。
「それは何に対する謝罪なんだ?」
「涼真!真咲は謝ってんだろ!」
「真咲!」
名前を呼ばれて真咲の身体が大きく飛び跳た。
「そ…れは…僕が…嫌な思いをさせてしまった…から…」
「誰に…?」
「…二人…父さんと…とと…」
「はぁ…」
涼真が深いため息を吐き、前髪をかきあげた。
「…俺は…いいんだよ…俺は。…そうじゃなくて…」
かきあげたままの指が無造作に髪を握る。
「…あ〜もう!」
そのまま髪をグシャグシャに混ぜて涼真は目を合わさずに小さな声で言った。
「…他人なんて言うな…」
「え?」
「だから、…他人なんて言葉で郁哉を切り捨てるな!」
…それって…?
「涼真は…もしかして俺の事を気にして怒ってくれてたって事?」
「……」
何がそんなにいけなかったのか。
そうだ…、涼真は俺の事を…。
「とと…悲しくさせて、ごめんなさい…。僕、言い方を間違えた」
いまだ涙で濡れている瞳。
「お父さんも…ごめんなさい。お父さんもととも、僕にとっては大切な人なのに…」
緊張で身体を強ばらせていた真咲…。
シュンと項垂れたその身体から、ようやく力が抜けた。
父親から初めて叱られて、謝って…じゃあその次に俺がすべき事は?
「涼真、真咲も反省してるし、もういいんじゃないか?」
俺は…二人の関係の修復を手助けする。
「ほら、何か話せよ」
俺の影にいた真咲を涼真の前に導いた。
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