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第167話

風呂上がりに、俺はカメラからリビングのテレビに映像を出力して今日一日撮った写真をチェックしていた。 「郁哉〜、どんだけ見てんの?さっき鑑賞会したのに」 「今は鑑賞じゃない、チェックだって」 涼真の言う事は最もだが…これは、一応チェックなんだって。 この中から俺が選りすぐりの写真を選び、アルバムに追加するんだ。 アルバムは三冊用意してある。 真咲と、涼真。 それから… 「そういえばね、来週早々に真咲合宿に行くんだ」 「は?何で?」 「クラスの親睦を深めるとか?進学校だから横の繋がりをちゃんと作っとくんじゃないの?」 凄く最もらしい意見だ。 「へー…どこで?」 「山の中の研修センター」 「うっわ、逃げらんないやつ…」 「子供達は逃げないし」 ふふ…と涼真が微笑む。 そっか、合宿か。 一生の親友とか出来ちゃうのかな? 俺と、涼真がそうだったみたいに。 「明日は必要な物揃えないとな。よし、書類書くぞ!」 うわ、気合いはいっちゃったよ。 それから涼真は進学する毎のお約束、書類アレコレと奮闘し始めた。 「集合場所まで行けるか?」 「大丈夫だから!郁哉は過保護!」 だって、まだ通い始めたばっかりなんだぜ? 慣れない電車で通学するし。 真新しいブレザーが少し大きくて初々しさが何とも微笑ましい真咲。 今日はボストンバッグとサブバッグを持って通学する。 「まだ時間あるし…やっぱり俺が…」 真咲の荷物をつかみ取ろうとしたが広めでも男三人が玄関にいると身動きが取れない。 「大丈夫だって」 「あ、来た」 玄関チャイムが鳴り真咲がドアを開けると、そこには真咲と同じ制服を着た夏羽がいた。

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