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第169話
「フンフン〜」
今日は仕事も順調に進み、今日は定時退勤間違いなし!
知らず知らずのうちに俺は上機嫌でキーボードを叩いていた。
「香束、えらくゴキゲンだな?」
「え?や、そんな事ないですよ」
「…会社で鼻歌はやめた方がいい」
「すみません…」
うわ、佐藤リーダーにお叱りを受けちゃった!
だって今晩から涼真と二人。
注意されてもソワソワ、ウキウキが止まらない。
「…そうだ、今週中って言ってたA案、水曜までに仕上がるか?」
「えッ?明後日?」
背中からじわっと汗が滲んだ。
「が…頑張れば…」
今日は月曜日なんですけど!
鬼ですか?
なんて言わないけどね、大人だから。
「ウソだよ。幸せそうだから意地悪した」
「うわッ、引く〜」
佐藤リーダーが言った可愛げの欠けらも無い冗談を中野さんが叩き落とす。
「冗談か…ホッ」
「香束、ホッとしてないで仕事しろよ」
中野さんが先輩らしく俺をやんわりと仕事に導く。
「は〜い」
冗談だろうけど、佐藤さんの言葉で俺はちょっとだけ気が引き締まり、中野さんのおかげで仕事に集中出来た。
「くそーッ!嘘ツキ!」
金曜締めのA案、水曜日じゃなくなったけど木曜日までだって言うからぁ…今日は頑張って仕事を進めてきた。
うッ!もう十時じゃん!
涼真と甘〜く過ごす予定だったのに!!
カバンを抱え身を捩って改札を通り抜け、俺はマンションまで走った。
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