「ふぁ…ぁ…」 仕留め損ねたアクビを中途半端に噛み殺し、何食わぬ顔で仕事を続ける。 幸いな事に佐藤リーダーと中野さんは離席中。 そっか、今ならアクビもし放題だ。 学校の合宿から今日は真咲が帰って来る。 疲れただろうから真咲が好きな物作って食べさせてやるか…。 トンカツは油を使うから疲れた体には負担かな。 なら厚切りロースをさっぱりと煮るか！ それなら真咲も涼真も好きだしご飯もイケる。 冷蔵庫の中にブロック肉はあるけど野菜が無いな。 野菜か…セロリが食べたいけど涼真は食べられないから…レタスで我慢するか。 そう言えば涼真、身体大丈夫かな…。 昨日も結局はバスルームに突撃してシャワー中の涼真ともう一戦交えてしまった…。 いやぁ…ねぇ…。 俺だってシャワー浴びたかったし…。 濡れ髪の涼真の雰囲気が…俺を元気にさせちゃうし。 極めつけが“ 明日も仕事 ”って言いながら、ダメって言わない涼真の優しさ。 「結局、甘やかされてんのかな…」 「…そうだろうな」 「…ひッ…！佐藤リーダー…いつからそこに？」 「三分位前かな？」 「お…お帰りなさい…」 「ニヤニヤしてないでシャキッとしろよ」 「は…はひッ…」 返事をしつつ隣を見ればいつの間にか中野さんも戻ってきていて俺を生暖かい目で見ていた…。 キモイ奴って思われたかな。 ま、いいや。 今日は真咲の為に美味い飯を作ってやろう。 その為に… 「さ、定時で帰ろ」 頑張れ、俺。