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第205話
「で?」
「で?とは?」
肉野菜炒めの上にドーンと乗っているデカい肉を箸でつまんで口の中へ。
ん〜、ンまい!
「だからさ〜デートどうだった?」
「ふぁ?んふー」
「フツーって何だよ。ちゃんと喋ろ」
聞こえてんじゃん。
「…ん、映画見て飯食って…終わり」
「嘘っ…!そんだけ?」
「そんだけ」
…嘘は言ってない。
「据え膳は?食った?」
「何だよ、食いつくなよ」
「どうなんだ?」
「彼女の手料理は、食った」
ハンバーグやら煮物やら、そりゃもう家庭的な品々。
「美味かったろ?」
「美味かったよ。てか何で知ってんだよ?」
「いいだろ、そんなの。で、他は?食った?」
他って!言い方!
「飯食って帰ったよ」
何の事を言ってるのか薄ら想像は出来る。
出来るけど中黒に応える義理は無い!
「…か〜〜ッ!童貞か!コラ、香束!」
「わ、わ!なんちゅー事言ってんだよ(ヒソヒソ声)」
止めて!ここ、会社だから!上司も同僚もいるから!
「お前…女の子からって…どういう事か分かってんのかよ」
「いや…でも…付き合う気が無いのに…なぁ…」
「あぁん?あんなに可愛くていい子なんだから断る理由なんかねぇだろが」
「いやぁ…その…お、俺もうオジサンだしさ、彼女にはもっと…こう…若くてヘタレてない男がいいんじゃないか?」
俺が抱きたいのは彼女じゃ無い、…なんて俺に睨みを効かしている中黒に言えるかよ…。
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