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第207話
「う…モノが多いな…」
季節ごとに使う扇風機やヒーターは手前に置いてあるから認識出来るけど…その奥は記憶がさだかでない。
「いつの間にこんなに物が増えたんだ?」
とりあえず中にある物全てを廊下に出した。
記憶にあるような、無いような…。
表面は綺麗だが一応雑巾でホコリを落とす。
「これは…ビニールの浮き輪?と…乗っかるやつ…それから空気入れるやつ…」
見覚えがえるような、無いような…。
「キャンプセットに携帯コンロのガス!これならバーベキュー出来んな!それから…」
カラフルな水玉色の箱。
「何だ?…ランドセル?新品じゃないか」
新品だとすると…真咲が使った物では無い…。
「分からん…」
涼真に聞こうにも彼は気になるベーカリーに行くと言って朝から出かけている。
「ま、いっか」
スノコを上げて入り込んだホコリを拭き取り、しばらく乾かしてから入っていた物を片付けようとその場を一旦離れた。
「あ、部屋に携帯置いてきたな」
…連絡があるかもしれない…。
自室のベッドの上に置き去りの携帯を取りに行ったついでにベッドにドーン!
「あー…布団…最高かよ…」
特に眠い訳ではないけれど、いつでも布団は俺を優しく受け止めてくれる。
「昼間っからゴロゴロすんのいいな〜」
一回転して何の気なしに見た本棚。
一冊だけ整った並びを乱す本に仰向けに寝転びながら手を伸ばした。
だがそれは本ではなくてアルバムのようだ。
「写真か…」
パラりと捲ると幾つもの笑顔が目にとびこんできた。
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