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第219話
「さて…ここだけはちゃんと終わらせないとね」
納戸に入れていた物が狭い廊下を塞いで通りづらいったらありゃしない。
すぐに仕舞う予定だったから乱雑に積み上げてしまっていたんだ。
出番の少なそうな浮き輪や空気を入れるポンプは綺麗なダンボールに入れて中身が分かるように表書きをしてから最奥に仕舞った。
キャンプ用品は…出番はそう近くないだろうからそこそこ奥に。
綿あめを作るおもちゃや流しそうめんが出来るおもちゃなんて、もう絶対に使う事は無いと分かっていても…何だか捨てられない。
「そんなに大きくないし…次に整理する時に処分すればいいよな」
自分にそう言い聞かせて奥の隅にそっと置いた。
「それから…ランドセル…これはどうすんだ?」
真咲が背負う事は無かったが、新品で捨てるには忍びない。
「知り合いに譲るか…?それとも売っちゃうか?」
ま、これは俺の管轄外。
最後に浮き輪の入ったダン箱の上に乗せて、俺は納戸の扉を閉めた。
「ふー、終わり!さて、アイスコーヒーでも飲もう」
俺は居間で読書をすると言っていた涼真の所に向かった。
「インスタントだけどアイスコーヒー飲むだろ?」
「郁弥、ありがとう。納戸の片付けおわったの?」
「うん、処分するもの無かったし。掃除してお終い」
「お疲れ様です」
俺は手早くアイスコーヒーを用意しソファで寛ぐ涼真に差し出した。
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