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第228話

「…で、痛々しいんだけど」 「…まあな…」 時は昼時、ここは食堂。 俺はカレーライスを そ〜っと食べていた。 「何やってんだよ。いい大人が」 「…チッ…」 「あばら骨はな、ギプスも何にも出来ないから骨折の中で一番辛いんだよ」 「…ヒビだって」 「似たようなモンだろが」 昨日の夜、涼真と共にタクシーで向かった夜間診療での診断結果は…想定内の肋骨にヒビ…だった。 “ 痛み止めしか出せないけど極力動かさないで ”医者はそう言い、彼に出来ることはそれだけなのだと俺は悟った。 「ベッドから落っこちたのか?」 「まあ…何だっていいだろ!」 「まさか…襲われた?」 …ドキッ…。 「男の俺を誰が襲うんだよ、バカ」 「…じゃあ、…襲った?んで抵抗されて…」 「くだらない事言ってんな!黙って食えよ!…ぃてて…」 強い痛み止めを服用していても、痛いモンは痛い。 「あ〜痛ってぇなぁ…」 声は呟きにもならない、ほぼほぼ ため息の音。 中黒はそんな俺に何を思うのか、目の前で飯を食べながら時々視線を寄越してくる。 何もねぇよ、お前に話す事なんて。 早くその場を離れたくとも飯を食うのも辛いんだ。 まだ腫れの引かない顎を擦(さす)って、己の運の悪さに苛立を覚えた。 「なあ、山城さん、どうよ?」 「ああ?」 どうって…俺に暴行を働いたぜ。 「めちゃくちゃ仕事出来んだろ?しかも美人!」 「ああ…そだな…」 それりゃ俺よりも出来る人だよ。 「……やっぱり…」 意味深な視線。 「…」 「…お前…興味無いんだな…」 「…」 何が? なんて俺は聞き返したり、しない。

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