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第259話
俺、何かしたかな…?
朝出勤すると山城さんからメールがきていた。
…同じ部署、こんなに至近距離で働いているのに直接ではなくて、メール。
それはもちろん仕事上のものではなく、個人的だと思われる内容のもの。
うーん…。
俺、何かしたっけ?
そして冒頭に戻る。
…朝からこの思考回路がエンドレスで頭の中をぐるぐる回る。
された覚えはあるがした覚えは無い。
前回の呼び出しを忘れる程日にちは過ぎていないし、むしろ俺がされた事を相手だって忘れていないはず。
俺をどうしたいんだ…?
俺は無意識に治ったはずの肋骨を摩った。
「あの…何でしょうか」
「……」
「えっと…用がないならかえります…けど」
「……」
終業後、二人きりの会議室。
前回同様、黙りをキメる山城さん。
本当は来たくなかった…だけど理由も分からずに悶々とするより、白黒ハッキリつけたい。
「あの…?」
「…あなたに言うのは筋違いかもしれません」
「…は?」
「あの子を…私に下さい」
「…え?」
山城さんが想定外の事を言う。
何だ、それ?あの子って、誰?
「ゴメン…意味が…」
「真咲を…!」
「…真咲?」
真咲を…下さいって…?
「それはどういう意味ですか?何で真咲の事を知ってるんです?」
「私の方があなた方よりよっぽどいい環境で育てられる」
「…は?何で…?」
ギッと睨む山城さんに負けじと俺も彼女から目を離さずに睨み返していた。
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