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第271話

「俺の知りたい事って何だよ」 「あら、それ聞いちゃう?」 軽くふざけているような、いつものノリ。 だがいつもと違っているのは中黒の目は少しも笑っていないという事。 「香束、食ったらついてこいよ」 味噌汁の椀を持ったタイミングでドヤ顔をキメて俺を誘う。 いつもなら絶対にその誘いには乗らないのだが… 「…どこに?」 「…知りたいんだろ?」 …不敵に微笑んでいるようにも見えるその顔に、俺は不思議と興味を抱かずにいられなかった。 「うわ〜肉うま♡」 などと、上辺はいつもと変わらないのだが時々俺を見るその目はいつものふざけたような中黒のものではない。 俺は茄子を充分に味わうのも忘れて、食事の間 中黒が言う俺の知りたい事について考えた。 「じゃあ行こうぜ」 空の食器を乗せたトレイを持ち上げて中黒は顎で俺を呼び立てる。 「…聞いてやるよ」 俺はその誘いに乗って、中黒について行った。 「ここですんの?」 「ここぐらいしか人払いができそうな場所無かったんだよ」 中黒に連れ込まれた…もとい、連れてこられたのは階段脇にある倉庫。 倉庫というと聞こえはいいが、階段下の空間を利用した狭い空間だ。 逆階段の下は頭がぶつかりそうだし、上が開けている空間は半畳ほど。 「下から見る階段、新鮮だな」 まるで上下が逆さまになっているようだ。 いや、それが正しいんだろうけど。 「おまえ、ヤバいぞ」 唐突に本題に入るか! 「何が?」 「東藤のコト、バレてる」 「え…?」 涼真との事って…まさか… 「すぐにどうこうって事は無いみたいだがな。もしかしたら秘密が漏れるかもだぜ」

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