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第285話
「はぁ〜〜……」
涼真と別れいつものように自分の席に着きPCを立ち上げている間にデスクの中から書類を取り出して今日しなければならない事柄をメモに取る。
毎日のルーティーン。
「お、早いな」
いつもギリギリに出社する佐藤リーダーが珍しく余裕を持って出勤してきた。
「おはようございます」
「おはよ。いろいろと力になれなくて悪かったな」
「いえ…自分も黙ってましたから。でも…もう終わったので」
「無理はするなよ」
「はい、ありがとうございます」
表向きは美織が涼真にストーキングをしていた事、それから俺への暴力。
肋骨への損傷は暴力と認定され、それも上に報告されると聞いた。
俺と涼真の関係については至極個人的な事に分類されるので…一部の人間にしか内容は明らかにされないらしい。
「あんなに仕事が出来て、しかも美人…。なにが不満なんだかな」
「佐藤リーダーは美人がお好きですからね。おはようございます」
「うわ、中野!聞くなら全部聞いて!一部分だけで判断しない!」
「…してませんよ」
いつも出勤時間が早い中野さんは今日はゆっくりなんだ…。
「わっ!」
中野さんから小さな悲鳴が聞こえた。
「おっと、大丈夫か?」
「膝が抜けてしまって…」
「…気を…つけろよ…」
「大丈夫です」
咄嗟に佐藤さんが中野さんを抱きとめて無事だったようだけど、何だ?
二人の空気感がいつもと違う…。
「香束、いつまで見てんだ。そろそろ始業時間だぞ」
「は、はい!」
顔は逸らしたけれど視線はまだ残して、俺は書いていたメモに“ ? ”マークを散らした。
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