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第287話
「とと、お帰りなさい!早かったね!」
玄関を入れば真咲が嬉しそうにリビングから駆け出してきた。
「今日は、な。涼真は?」
「父さんはまだ」
「そっか」
真咲は宿題をしているからとリビングに戻り、俺は着替えをしに自室へ。
スーツを脱いでネクタイを外し、一息つく。
「はー…違う意味で疲れたな」
いつもは仲良しの佐藤リーダーと中野さん。
雰囲気が微妙な感じだったけど…ま、週明けには元に戻るよな、うん。
もそもそ着替えてベッドにゴロンと転がった。
「あ〜布団最高…!このまま寝て…」
「…無いよな」
「ひぃッ!」
ビックリして文字通りに飛び起きた。
人間の体の不思議…じゃなくて、どんなタイミングで帰って来てんだ!
「寝て…ないし」
「うんうん。じゃあ出掛けよう」
「もう?」
「もう」
涼真がニッコリと微笑んだ…。
出掛けるといってもマンションの最上階の優羽の部屋に行くだけで、大きくなるにつれて真咲の体は丈夫になって病院にかかる事もほとんど無くなったから久しぶりに優羽に会う。
「あ…緊張する…」
「どうして?お姉さんなのに?」
「ちょっとね、大人の話をするからだよ」
俺が不用意に吐いた言葉を涼真がすかさずフォロー。
俺達が話し合っている間、子供達は別室で隆さんが見てくれる事になっている。
呼び鈴を押せばすぐに返事が聞こえ、姉自ら出迎えてくれた。
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