289 / 322

第289話

「バレバレだったわ」 ポロポロと涙を零していたほんの五分前、どこ行った? ケロッとした顔で優羽はそう言った。 「だって〜郁弥は涼真の方ばっかり見てるし〜、涼真も郁弥の事しか見てないし〜…典型的な両片思いよね〜」 ヒヤヒヤして青ざめていたはずなのに、いつの間にか恥ずかしくて顔が沸騰しそうに熱い。 何だよ! 知ってたんかい!! そうならまず俺に教えてくれよ! 「今までの時間…返して…」 「この位苦労のうちに入らないでしょ?」 「…そうだけど…」 もちろん苦労なんて一つも無かった。 涼真と真咲と暮らして、楽しい事ばかり。 「それで、優羽さんは俺達のこと、認めてくれますか?」 「もちろんよ…と、言いたい所だけど…」 「え?まだ何かあんの?」 「私も隆さんもあなた達の事は歓迎する。でも…」 「真咲…」 優羽が今までにないほど真面目な顔をして頷いた。 「真咲はまだ高校生です。言うのは…もう少し大人になってから…」 「私もそう思う」 なるべく多くの選択肢を残しておきたい。 いわゆる一般的な了見と言う意味で。 「じゃあ、姉ちゃんは俺達のコト…賛成してくれんだよ、な?」 「あったり前じゃないの!実の弟と可愛い涼真の頼みだもの〜」 …ん?何か気になる言い方…。 「ありがとうございます、優羽さん!」 「これで涼真は本当の弟になるのね!」 …んん? そこなの? 賛成の理由、それなの?

ともだちにシェアしよう!