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第290話

「今晩、真咲はウチで預かりたいんだ」 引き揚げようと真咲を呼べば、隆さんからそう声を掛けられた。 「翔が真咲を離さなくてさ。いいかな?」 「真咲、泊まる?」 問えば真咲は翔の部屋からぴょこんと顔を覗かせた。 「今日は翔の部屋に泊まる!」 「そっか。では、よろしくお願いします」 「いい子だから大丈夫だよ」 笑顔の隆さんに見送られ、俺は涼真と二人だけで俺達の家に帰ってきた。 「あ〜…疲れた…。姉ちゃんの威圧…怖…」 「俺は見透かされてた事が恥ずかしいよ」 「でもさ、これから堂々としてられる」 「優羽さんの前でだけ、な」 優羽だけでもいいんだ。 俺達をそのまま受け入れてくれる人がいる。 それが嬉しい。 順番に靴を脱ぎ室内に上がって、俺はリビングに入るなり涼真と手を繋いだ。 「ねえ、…今日は一緒に寝てもいい?」 控え目に、背中を丸めてちょっと見上げて言う。 「あらら、甘えんぼ?」 「ばぶばぶ、お風呂も」 「ハイハイ」 調子に乗った感もあるのだが、ちょっとだけ新婚さんみたいな…そんな甘えたな夜を過ごしてもいいよね。 「涼真、先に風呂入ってる」 「分かった。後から行くよ」 ウキウキ♡ 脱衣所で衣服を脱いで絶好調! わしゃわしゃと頭を洗い、続けて体。 石鹸を泡立てて隅々まで綺麗にした。 「臭いなんて言われたくねーしな」 ザバーッと泡を流して湯船に浸かり、涼真を待った。 ほどなくして磨りガラスの向こうに肌色が見えて涼真が扉を開けてこちらに入ってきた。

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